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    社会

    すぐに謝る日本人、なかなか謝らないトランプ大統領

    コミュニケーション・ストラテジスト 岡本純子
     テレビをつけると、毎日のように誰かが謝っている。不祥事を起こした官公庁の責任者や企業トップ、スキャンダルを報じられた芸能人……。潔く ( こうべ ) を垂れるのが日本人の美徳とされるし、「とりあえず姿勢を低くして嵐が過ぎるのを待つ」狙いもあるのだろう。しかし、それが常に正解とは限らないという。企業経営者のスピーチコーチングを手掛けるコミュニケーション・ストラテジストの岡本純子氏が解説する。

    世界一謝罪する国民

     「謝ることはいいことだ。間違っている場合に限ってね。もし、私が、仮に万が一、遠い将来に間違うようなことがあれば、絶対に謝るさ」――ドナルド・トランプ

    • トランプ大統領(ロイター)
      トランプ大統領(ロイター)

     世界を揺さぶるトランプ米新大統領は、めったなことでは謝らない。どんなに事実と違うことでも、ウソでも、誇張でも、自信をもって主張し、それが「真実だ」と言い切ってしまう。

     これまでも「地球温暖化は中国のでっち上げ」「ハッキングはロシアがしているかわからない」などと言ってのけ、訂正も謝罪もしなかったのは記憶に新しい。アメリカのメディアによると、大統領選の討論会でも104回「ウソ」をつき、多いときは一日30回以上の虚言・妄言を繰り出している、という。

     なぜ、ここまでやすやすとウソをつけるのか。常人からすれば疑問なのだが、不動産の売買を生業としてきた彼にとっては、人生のすべてが勝つか負けるかのディール(取引)であり、ウソも勝つための方便なのだろう。彼自身、「ウソ」ではなく「真実の誇張」と呼び、「ハッタリ」は許されると考えているらしい。

     「Post Truth」(ポスト真実)「Alternative Facts」(もう一つの事実)などという言葉でくくられるご時世で、10年以上前の加湿器の回収を訴え、謝り続ける日本企業のテレビコマーシャルなどを見ると、なんとまあ日本の企業は誠実なのだ、と感心する。とともに、「猛獣」が跋扈(ばっこ)する魑魅(ちみ)魍魎(もうりょう)のグローバル社会の中で、過度の低姿勢があだになることはないのか、と不安になったりもする。

     かように、日本企業も日本人もとにかくよく謝る。たぶん、世界一謝罪をする国民だろう。「職員が悪事を働きました」「不倫しました」「政治資金を流用しました」「夫が悪事を働きました」。テレビをつければ、ほぼ毎日、どこかで誰かが深く頭を下げ、謝罪をし、許しを請うシーンを見かける。

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    2017年02月01日 10時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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