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対トランプ政権、習近平氏が持つカードとは
東京福祉大学国際交流センター長 遠藤誉
トランプ米大統領は就任早々から大統領令を連発、論争を巻き起こしているが、外交の大きな課題である米中関係に関しては、まだ十分には方向性が見えてこない。中国の習近平 政権側は対トランプ政権でどのような戦略を描いているのか。中国情勢に詳しい東京福祉大学国際交流センター長の遠藤誉さんに寄稿してもらった。
「一つの中国」で揺さぶり
トランプ政権の骨格がようやく見えてきた。対中関係に影響を与えそうなキーパーソンは、レックス・ティラーソン国務長官、ジェームズ・マティス国防長官、国家通商会議(NTC)のトップに就任したピーター・ナバロ委員長、あるいはスティーブン・バノン大統領上級顧問兼首席戦略官らである。いずれも対中強硬派と見られる人たちだ。
トランプ氏は就任前の昨年12月2日に台湾の
環太平洋経済連携協定(TPP)離脱など、トランプ大統領は選挙期間中から主張してきた一連の公約を就任後に次々と実行に移している。それを考えれば、今後、どこかで「台湾カード」を使う可能性があることは十分に予測される。
中国にとって「一つの中国」の原則は、絶対に譲れない最高ランクの核心的利益だ。こうしたトランプ政権に対して、中国はどう対応しようとしているのかを分析してみよう。
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2017年02月10日 13時30分
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