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    日本のAIは周回遅れ…杉山将・東京大教授に聞く

    読売新聞科学部 冬木晶

    人型ロボットに執着したツケが

     ――研究資金の差も大きいのでしょうね。

     「ビッグデータと呼ばれる大量のデータを使う深層学習の研究は、処理速度が速い高額なマシンをどれだけそろえられるか、予算規模での勝負になっている。ITビジネスに成功して、一企

    業が年に数千億円を投じる米国に対して、日本は新センターの新年度予算案が約30億円。差は広がる一方だ」

     ――一体どうして、それほどまで出遅れてしまったのでしょう。

     「AIの本質はコンピューターのアルゴリズム(計算手順)であるのに、日本人には鉄腕アトムのイメージが強いのだろう。意識を持ったアンドロイド(人型ロボット)だ。だから、自動運転や画像認識などを可能にする『ディープ・ラーニング=深層学習』の論文が出た06年当時、アンドロイド好きな日本の人工知能研究者の多くは、ハード面とセットで実用化する研究に傾斜してしまい、数学的な要素の強い、こうした新しいアルゴリズムの研究に注目しなかった」

     「機械学習の若手研究者は国内の研究機関にポストがほとんどなく、修士課程の学生も進学せずに就職するケースが多かった。一方、米国ではグーグルなどがこの10年間、若い理論研究者を好待遇で大勢迎え入れて深層学習の新技術を生み出し、AI研究の最先端を突っ走っている」

     ――新センターが発足したというのに、最初から勝負にならないというのは弱気過ぎませんか。

     「まず現状を正確に認識しなければならない、ということだ。米企業と同じ土俵で競争するのは難しい。しかし日本にも少数ながら優れた理論研究者がいる。個人の勝負なら、一発当てて世界をひっくり返すことは可能だと思っている。深層学習を使ってトップ棋士を破った囲碁AI『アルファ碁』を開発したのも数人の天才だった」

     「今の深層学習の技術はまだ万能ではなく、解決できていない課題は残っている。新センターは“一発逆転”を狙って基礎研究に力を入れていく。予算が少なくてすむ基礎研究であれば世界に勝てる。また、iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究や、青色発光ダイオードに代表されるモノ作りなど、日本が誇る分野にAIを活用する応用研究も進めたい」

    ※2 機械学習: 
     人間が学習する時のように、機械(コンピューター)が入力されたデータを解析して規則性や論理パターンなどを自ら見つけ出すこと。機械学習の一種である深層学習は、人間の脳の神経回路を模した電気回路の層が多段階あることから「深層」と名づけられた。

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    2017年02月13日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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