
懸案先送りの米中、日本がとるべき道とは
トランプ米大統領と中国の習近平 国家主席は4月6、7の両日、米フロリダ州パームビーチで首脳会談に臨んだ。友好ムードは演出されたが、焦点となっていた北朝鮮の核・ミサイル開発、米中貿易不均衡など両国間の懸案の多くは先送りされた。両首脳の初の顔合わせとなった今回の会談をどう評価するか。また、日本はどのような戦略で米国や中国に臨むべきなのか。日米中の関係を研究しているキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の瀬口清之氏に聞いた。
決裂避け、懸案を先送り
会談が決裂にはならなかったので、ひとまずほっとしている。
火種はいろいろあって、最大のものが北朝鮮問題だった。しかも、トランプ大統領はシリアに攻撃を仕掛け、中国にプレッシャーをかける材料を手元にちらつかせながら習主席と会った。習主席が外交の機微に触れるような問題への対応にあまり慣れていないこともあり、その点でも心配は大きかった。
トランプ大統領の主張は、シリアに攻撃を仕掛けたことからも明らかなように、あらゆる選択肢を念頭に、北朝鮮に対しても強硬手段をとる準備があるという点に示されている。中国がやらないなら単独でもやるというサインを出した。それは中国にとって一番嫌なことだが、そこで習主席が不用意に反論をすれば、決裂するリスクは高かった。
報道によると、日本時間の9日午前に行われた安倍首相とトランプ大統領の電話会談で、「米中首脳会談はいい雰囲気だった」とトランプ大統領が言ったと伝えられた。もしそうなら、おそらく台湾問題など中国が触れられたくない問題については、あまり激しい議論がなかったのだろう。南シナ海問題についても、先送りして実務レベル、もしくは高官レベルに委ねたようである。
米中が決裂して貿易戦争にでもなれば、米国も中国も経済がおかしくなる。それを回避するには米国も我慢しなければならないし、中国も我慢しなければならない。米中が何とか平穏な関係を続けてくれることは、日本の国益にも資する。
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