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    経済

    焼き鳥店「全品280円均一」でももうかるワケ

    フードコンサルタント 白根智彦

    店舗と顧客が「ウィンウィン」になる飲み放題・食べ放題

     鳥貴族では、8人以上の予約で2時間以内なら一人2800円(税別)で飲み放題・食べ放題となるプランも人気です。外食チェーンにとって「飲み放題」「食べ放題」は集客の重要な戦略と言え、各社がサービスの充実を競っています。また最近は、作り置きではなく、好きな料理を好きなだけ注文して食べられる「オーダーバイキング」と呼ばれる食べ放題サービスに力を入れる店も増えています。

     前掲の表のように、食べ物・飲み物の原価率はその種類によって様々ですが、飲み物の場合は、総じてビールやワインのようにそのまま飲むお酒は30~40%と高く、ウーロンハイやレモンサワーなど、アルコールを水や炭酸水などで割って飲む“割りもの”は10%台と低くなります。

    • 一般にビールやワインなどそのまま飲むドリンクは原価率が高く、レモンサワーなどの“割りもの”は原価率が低い(写真はイメージ)
      一般にビールやワインなどそのまま飲むドリンクは原価率が高く、レモンサワーなどの“割りもの”は原価率が低い(写真はイメージ)

     従って、団体客がビールやワインをたくさん飲むケースなどでは、店の利益は少なくなり、飲み物代だけを見れば赤字になることもあります。反対に、割りものばかり飲んでくれるグループであれば、店の経営者は「ラッキー」と思うかも知れません。

     実際には、ビールやワインだけを大量に飲み続ける顧客はそれほどいませんし、「ビール離れ」が指摘されている若い顧客の間では今、ウイスキーを炭酸水で割って飲むハイボールが人気です。

     例えば、2時間飲み放題の料金が1500円(食べ物は別)、原価率3割(450円)と店舗側が予算設定したとしましょう。仮にハイボールやウーロンハイ、レモンサワーの売価がいずれも1杯400円で原価率17%の場合、原価は68円となります。

     この場合、顧客の飲んだ量が一人当たり6杯(68円×6=原価408円)までなら店舗側に分があり、7杯(同476円)を超えると予算割れをすることになります。しかし、前述したように実際には7杯以上飲む顧客はあまりいません。一方、顧客にしてみれば、売価が400円なので、4杯飲めば1500円で1600円分を飲んだことになり、「得をした」という気持ちになります。

     ここで大切なのは、店舗と顧客が「ウィンウィン(双方に利益をもたらすこと)」になることです。「原価」で損得を考える店舗側と、「売価」で損得を考える顧客の双方が「得をする」ことができる。これが、飲み放題・食べ放題のカラクリなのです。

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    プロフィル
    白根 智彦(しらね・ともひこ)
     株式会社イエローズ・株式会社シェアハピネス代表取締役。1965年、埼玉県生まれ。学習院大卒。ベッカーズ株式会社(現・ジェイアール東日本フードビジネス)で22年間勤務した後、2011年2月に独立開業。フードコンサルタントとして店舗プロデュースなどを手掛ける。東京・京橋のレストラン「ぶーみんVinum 東京スクエアガーデン店」など3店舗を運営し、ハンバーガー研究家としても知られる。

    2017年05月19日 16時45分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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