生活
大人気「うんこ」だらけの漢字ドリル誕生秘話
文響社社長 山本周嗣
うんこが幸せを招くこともある――。 最近、こんな例文が掲載された学習教材が話題になっている。今年3月下旬の出版からわずか2か月で、発行部数累計180万部を超える「うんこ漢字ドリル」。例文すべてに「うんこ」という言葉を使い、あの典型的なカタチをしたキャラクター「うんこ先生」が表紙を飾る。モノがモノだけに、「悪ふざけだ」「不謹慎だ」という声も一部にあるが、なぜ、このドリルは受け入れられたのか。出版元である文響社の山本周嗣社長に聞いた。(聞き手・メディア局編集部 鈴木幸大)
「うんこ川柳」はボツ
私の友人で映像ディレクターの古屋雄作さんが2003年ごろから、自身のホームページなどで「うんこ川柳」に取り組んでいました。
「ブリブリ」「ジワジワ」「ボロボロ」といった擬音語・擬態語を使い、「背景を感じさせるうんこ川柳」「生活に密着したうんこ川柳」などのテーマで何百という川柳を書き
私は、2010年に出版社を設立しました。2年前、新たな本の企画を練っていた時に古屋さんの「うんこ川柳」を思い出し、私のほうから書籍化を持ちかけました。
「やっぱり分かってくれたか」
「さすが山本だよ」
念願だった書籍化を実現をできると思った古屋さんは、すっかり満足そうでした。2人で盛り上がったのをよく覚えています。
ところが、自宅に帰り、1人になって冷静に考えてみたんです。
「あれ、これヤバイ」
「つくっている方だけが、おもしろがっているんじゃないか」と、読者の視点が抜け落ちていることに気づきました。私には、「うんこ川柳」がベストセラーになっている絵がどうしても思い描けませんでした。
古屋さんに頭を下げました。「申し訳ないけれど、川柳のことはいったん忘れてくれ」
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2017年05月23日 14時24分
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