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    生活

    「水道事業の民営化」で水は安くなるのか?

    立命館大学特任教授 仲上健一
     水需要の減少や水道施設の老朽化など、地方自治体が抱える問題を解決するため、政府は「水道事業の民営化」への動きを進めている。水道事業の官民連携、広域連携によって民営化を促す水道法改正案が今年3月に閣議決定され、政府は今国会での成立と、2018年度中の施行を目指している。自治体が手掛ける水道事業が民営化されれば、市民生活はどう変わるのか。立命館大学特任教授の仲上健一氏(水資源・環境政策)が解説する。

    水道法改正の「核心」

    • 水道は最も重要なライフラインの一つだ(写真はイメージ)
      水道は最も重要なライフラインの一つだ(写真はイメージ)

     我が国の近代的な水道事業は、横浜市で1887年9月、イギリスのヘンリー・スペンサー・パーマー工兵少将の指導のもと、洋式水道が完成したのが始まりである。以降、全国各地で近代水道が整備され、今日に至るまで、市民の最も重要なライフラインを支える公営事業として続いてきた。

     政府が今国会での成立を目指す改正水道法は、「水道の基盤の強化」を主な目的に、広域連携や官民連携、適切な資産管理などを推進するものである。水道施設の運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入することを目的として、広域連携の推進役である都道府県に水道事業の再編計画の策定を求める内容だ。

     水道事業の「官民連携」自体は既に各地で行われている。広島県三次市が2002年、三菱商事が出資する「ジャパン・ウォーター」(本社・東京)に浄水場の管理・運営や水質検査を委託したのをはじめ、浄水場管理や検針、料金徴収などの業務では、多くの自治体で民間委託の実績がある。

     だが、改正水道法案に盛り込まれた「水道施設の運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入する」ことは、従来の民間委託とは根本的に異なる。これは、水道事業の経営を含む全業務について、民間事業者に包括的に担わせる方式である。現行の制度でも可能ではあったが、これまでは自治体が浄水場管理など一部の業務を民間委託するのにとどまっていた。

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    2017年05月25日 09時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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