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    文化

    19連勝の藤井四段、プロはどう見ているのか

    将棋ライター 松本博文
     史上最年少の14歳2か月でプロとなった将棋の藤井聡太四段の勢いが止まらない。5月25日の対局で連勝を19に伸ばし、デビュー以来、公式戦では負け知らず。対局のたびにメディアが押しかけ、一挙一動を報じる。もはや社会現象と言えるほどのフィーバーだが、対局後、はにかみながらインタビューに答える姿はごく普通の中学生である。そのギャップが底知れぬ可能性を示している。藤井四段の強さの秘密を将棋ライターの松本博文さんにリポートしてもらった。

    羽生七冠以来のフィーバー

    • 竜王戦6組決勝で、近藤誠也五段(右)との対局に臨む藤井聡太四段
      竜王戦6組決勝で、近藤誠也五段(右)との対局に臨む藤井聡太四段

     5月25日朝、東京・千駄ヶ谷の将棋会館では多くの報道陣が待ち構えていた。お目当てはもちろん藤井の対局だ。

     最近の藤井フィーバーで取材の申し込みが殺到しており、取材者は対局前日の午前中までに将棋連盟の広報に連絡して撮影の許可をとらなければならない。この日もテレビ局や新聞社が取材に来たほか、複数のインターネット放送局が対局を生中継した。

     午前9時45分ごろ、藤井が到着するとカメラが一斉にその姿を追った。デビュー戦の時には学生服を着ていたが、最近はスーツ姿が板についてきた。マイクを持ったリポーターが「青いネクタイをしめて、リラックスした表情です」と、藤井の様子を伝えている。将棋の報道がこれほど過熱するのは、1995年と96年に羽生善治が将棋界の全タイトルである七冠を独占できるかどうかが注目された時以来かもしれない。

     この日の対局は竜王戦6組の決勝。勝てば本戦出場という大一番だ。藤井と対戦するのは近藤誠也五段である。藤井の連勝を止めるのは誰かが取り沙汰される中、近藤は早くから有力なストッパーと目されていた。

     藤井はあまりに規格外のルーキーであるが、将来を嘱望されているという点においては近藤も引けを取らない。四段昇段は、藤井より1年早い2015年。王将戦で一番下の一次予選から勝ち抜いて難関のリーグ入りを果たし、羽生三冠からも白星を挙げている。順位戦はC級2組を1期で抜け、昇級昇段を果たした。今年度はここまで4戦負けなしである。

     報道陣が藤井の方にカメラを向ける中、午前10時、対局が開始された。先手の近藤が飛車先の歩を突いたのに対し、藤井も飛車先の歩を伸ばす。戦形は激しい展開になりやすい「相掛かり」へと進んだ。

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    2017年05月30日 09時39分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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