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    そんニャ日が来る?「ネコがメディアを支配する」

    THE PAGE 編集長 奥村倫弘
     インターネットが日本に本格的に登場して20年以上が経過した。ネットの進化は私たちの生活を大きく変えるとともに、メディアのあり方も大きく変容させてきた。一部にウソや真偽不明のニュースが飛び交い、素人が投稿した「ネコ動画」に多くのアクセスが集まるなど不可解な状況も目立つ。ネットメディアに未来はあるのか。中公新書ラクレ「ネコがメディアを支配する」の著者、奥村倫弘氏に聞いた。(聞き手・読売新聞メディア編集部次長 中村宏之)

    「ニュースのマネゴト」ルールなし

    ―本書の執筆は、どんな問題意識が出発点となったのですか

     インターネットが登場して20年たちましたが、この間に、何度かメディアのありかたを変えるようなエポックがありました。一つはインターネットが登場して、紙の新聞が読まれなくなってきた傾向があること。もうひとつは、2008年あたりからソーシャルメディアが出現し、スマートフォンの時代にシフトしていったことです。こうした変化の中で、我々40代以上の人々が持っている「ニュース」という言葉の概念が大きく変わってきました。その変化が必ずしもいい方向には行っていないのかもしれません。ネット社会の進展はこれまでの20年、明るい未来を描いてきたが、ことジャーナリズムに関していうと、必ずしも明るくないかもしれない。そうしたことを指摘する人がいてもいいのではないかと思いました。そこが出発点です。

    ―最近もフェイクニュースやいいかげんなまとめサイトの問題などがあり、確かにニュースに対する世の中の考え方が根本的に変わってきているという印象を受けます。

     インターネットが登場する前から新聞やテレビの報道番組に親しんでいた私たちの世代は、ニュースは信頼に足るものだと思っていましたが、フェイクニュースといった言葉に象徴されるように、ニュースは信用できず、ウソも含まれているかもしれないという考えが紛れ込んでしまうようになりました。これが一番の問題です。

    ―どうしてこんなことが起きたのでしょうか

     一つはそのニュースにたずさわる記者、これは校閲記者も含めてですが、それが専門職であるとの認識が世の中になくなってきているからだと思います。

    (ネット社会では)誰でも書けるので、自分が伝えたいことを言葉にすることができます。表現することは人々の権利であり、それ自体は問題ありませんが、新聞社では間違いがないか、嘘でないかを何重にもチェックします。ものすごい労力をかけるわけですね。そこが記者、ジャーナリスト、ライターの専門職たるゆえんなのでしょうけれども、ネットが登場したことで、そこに専門性というものを求めなくても真似(まね)事をできるようになりました。実際にはプロ野球選手と少年野球の違いよりも大きい違いがあるのでしょうが、野球の場合、いずれもルールは守ります。しかしメディア業界、その中でもニュース業界というものがあるとすれば、そこでは統一されたルールが一般の人に共有されてこなかった。ルール不在のまま一般の人がそこに参入してきたわけです。そういうところが良くも悪くもニュースの概念を変えるひとつの力となったということです。それがいい方向に転がる可能性もあったはずですが、商業主義と結びついたことで悪い方向に転がってしまっている。それが目につくようになったということではないかと思います。

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    2017年06月03日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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