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    働き方 日産「ゴーン改革」から学ぶべきポイント

    読売新聞調査研究本部主任研究員 榊原智子
     日産自動車を16年間にわたり率いてきたカルロス・ゴーン氏が、4月から社長兼最高経営責任者(CEO)のポストを譲り、会長職に退いた。ゴーン氏の経営手腕は有名だが、「ダイバーシティー」(多様性)を柱に、日産の企業文化を刷新した点でも注目された。女性の活躍推進や働き方の改革が待ったなしの日本企業が、「ゴーン改革」から学ぶべきポイントを読売新聞調査研究本部の榊原智子主任研究員が解説する。

    女性の活躍、カギは「ダイバーシティー」の推進

    • 女性のアイデアを店づくりやサービス向上に生かした「レディー・ファースト・ショップ」を訪問したゴーン氏(右、2014年撮影)
      女性のアイデアを店づくりやサービス向上に生かした「レディー・ファースト・ショップ」を訪問したゴーン氏(右、2014年撮影)

     1999年に仏ルノーから送り込まれたゴーン氏は、経営破綻寸前だった日産で大胆なリストラや系列企業の見直しなどを進め、「V字回復」を成し遂げた。2005年にはルノーの社長兼CEOにも就任し、16年に三菱自動車を事実上、傘下に収め、世界を代表する自動車グループに発展させている。こうした日産の再建を果たしたゴーン改革で、大きな原動力と位置づけられてきたのが、ダイバーシティーの推進と言える。

     ダイバーシティー(diversity)とは「多様性」「相違」を意味する英語だが、ビジネスでは<特定の性別や年齢層、単一文化に偏ったモノカルチャー(単一栽培)的な集団では、多様な顧客に魅力ある商品を届けることはできない>という考えに基づいて使われる。ダイバーシティーを重視した経営は、欧米では1980年代から実践されるようになり、第一に有能な女性の活用が進んだ。さらに、グローバル化の進展とともに、国籍、年齢、性的指向、職歴など異なる背景を持つ社員の登用が創造的なアイデアや組織の活性化を生み出すと考えられるようになった。

     日産は今年4月、「国内における女性管理職比率10%を達成した」と発表した。ダイバーシティーに本格的に取り組み始めた2004年に計37人で1.6%だった女性管理職が279人になり、6倍に増えた。政府目標の「2020年に女性管理職比率30%」にはまだ遠いが、自動車を含む輸送用機械器具製造業界の平均1.3%を大きく上回る。

     しかし、ここまでの道のりは平たんではなかった。ゴーン氏が来日した当時の日産は、「年功序列」「終身雇用」「男性正社員中心」に象徴される日本的経営の典型企業だったからだ。「社長の自分のところに話に来るのは男性ばかり。それも同じ髪形、同じ色のスーツ、同じ50歳代の日本人ばかりだった」。ゴーン氏は、職場も役員会も多様な人で構成される欧州企業との違いに驚き、モノカルチャー集団に違和感を抱いた――と周囲に漏らしたという。

     日産社内にも警戒する空気があった。ゴーン氏が社長に就任した当初は、「黒船到来」と社員が反発し、ダイバーシティーの推進には激しい抵抗があったようだ。

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    2017年06月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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