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    生活

    糖質、カロリー、プリン体…ゼロマジックの落とし穴

    管理栄養士 竹並恵里

    一緒に何を食べますか?

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     大手スーパーの協力を得て、ビール購入者と赤ワイン購入者の実際のレシートを分析し、一緒に買った食品の違いを調べた研究があります。

     その研究によると、赤ワイン党は野菜・果物、低脂肪乳、低脂肪肉など健康効果の高い食品の購入率が高く、ビール党はマーガリン・バター、スナック菓子、脂身の多い肉類などの割合が高かったことが分かりました。

     つまり、赤ワイン党がヘルシーとされる理由は、赤ワインそのものよりも、一緒にとっているヘルシーな食事にある可能性が考えられます。反対に、ビール党が選ぶ食品は、肥満の原因になりやすいものが多く、肥満は尿酸値を上げるもっとも強力な因子です。

     このあたりに、ビールが悪者扱いされる理由が見えてきそうです。

    ゼロマジックの落とし穴:その2

     いかがでしょう、ゼロマジックの二つ目の落とし穴にピンときましたか?

     それは、ゼロマジックによる安心感で、一緒に口にする「食事」への配慮がいいかげんになっていないか、という点です。

     栄養相談ではよく、「糖質ゼロだからその分(・・・)、いつも我慢している締めのラーメンを食べた」「その分(・・・)、揚げ物を追加した」といったケースに遭遇します。前述したとおり、ビールの糖質含量は500ミリ・リットル缶を2本飲んだとしても30グラムで、120キロ・カロリーほどです。一方、ラーメン1杯は450キロ・カロリー前後にもなり、「その分」の等式は到底成り立ちません。

     今まで気をつけていたはずの良い食習慣が、ゼロマジックによって緩んでしまうとなると、糖質ゼロで得られたメリットなんて簡単に吹き飛んでしまいます。

     また、アルコールは脳の前頭前野という「理性」をつかさどる領域の活動を低下させ、普段は健康のために控えている食品を選びたくなり、食事選びに問題が生じやすくなります。

     「ゼロマジックの安心感→アルコール量が増える→食事が乱れる」

     こんな図式が成立してしまうと、ゼロマジックは、もはや害悪にしかなりません。

     健康のためには、どんなお酒を選ぶか以上に、一緒にどんな「食事」を口にするかを考えることが大切です。揚げ物・スナック菓子などの高脂肪食品や、ごはん物・麺類・ピザなどの高糖質食品を控え、野菜や海藻を積極的にとりながら、良質なタンパク質のおかず(枝豆、冷ややっこ、焼き鳥、刺し身など)を選びましょう。

    おいしくお酒を楽しむには

     「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、今の過剰なゼロ合戦は「木」にだけ焦点を当てた考え方です。「森」、つまりお酒の本当の問題は「アルコール量」と、一緒にとる「食事」にあります。

     ゼロマジックを良い方向に活用させるためには、森を見ることを決して忘れないことが重要です。

     また、運動習慣が飲酒による健康リスクを低減するという報告もあります。おいしいお酒をいただくために、運動を頑張る。わずかな成分の有無にとらわれるよりも、こちらの方が健全かもしれません。

     いずれにしても、お酒と長く楽しく付き合うためには、「森」を見るような広い視野が大切ですね。

    プロフィル
    竹並 恵里(たけなみ・えり)
     1978年埼玉県生まれ。管理栄養士。健康運動指導士。東洋大学非常勤講師。東京大学大学院身体運動科学研究室博士課程在籍。日本女子大学家政学部卒、早稲田大学大学院人間科学研究科修了。明治製菓(現・明治)在籍時にスポーツ栄養ブランド「ザバス」の研究開発、スポーツ選手の栄養支援に従事。その後、食を中心とした健康サポートを行う「ヘルシーピット」に入社。生活習慣病の予防・改善の栄養相談を数多く行う。著書に「進化系!筋肉男子の栄養学」(ベースボール・マガジン社)。

    • 「進化系!筋肉男子の栄養学」(ベースボール・マガジン社)
      「進化系!筋肉男子の栄養学」(ベースボール・マガジン社)


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    2017年06月14日 07時37分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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