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    IT

    「デジタル革命」は職人技を救えるか?

    三菱総合研究所 大川真史
     国内の製造業で、今後を担う人材の不足が深刻化している。その背景には機器の作業方法など技能の伝承がうまくいかず、人材が定着しないことなどがある。「文明の利器」であるスマートフォンやタブレット、ロボットなどが「伝承」を後押しできるのか。三菱総合研究所の大川真史・主任研究員が解説する。

    「町工場」を支えるアプリ

    • 従業員5人の「大鉄精工」(埼玉県三郷市)
      従業員5人の「大鉄精工」(埼玉県三郷市)

     埼玉県三郷市の大鉄精工。アルバイトを合わせて従業員5人ほどの小さな町工場だが、実はここで、地上と宇宙をつなぐ新たな輸送機器「宇宙エレベーター」の試作に使う金属部品の製造などを手掛けている。

     一見、小さな町工場といった趣の会社である。しかし、手掛ける部品はほかにも建機や自動車など、国内の業界大手の試作品に数多く採用されており、まさに日本の製造業を支えている存在といえる。

     ただ、木下道貴社長(44)の悩みは、人材がなかなか定着しないことだ。基本的に金属の切削や研磨などはすべて機械で行うが、「作業手順や機械のセッティングなどの『段取り』を覚えるまでに時間がかかるため、作業に慣れつつある人材が離れてしまう」という。

    • 大鉄精工では、タブレットで作業情報を共有し、指導の効率化につなげている
      大鉄精工では、タブレットで作業情報を共有し、指導の効率化につなげている

     この工場が2013年に導入したのが、東京の企業「スタディスト」が開発した業務マニュアル制作アプリ「Teachme Biz(ティーチミー・ビズ)」だ。木下社長が入力した写真や動画、作業手順などの情報をタブレット端末で簡単に共有できるため、新人でも機械の操作にすぐ慣れるという。

     木下社長は「これまで教えるのに2~3か月かかっていた作業も、1週間ぐらいでできるようになった」と喜ぶ。人材の定着率も上がったといい、「人材不足を打開できるとてもいいツール」と太鼓判を押す。

    2017年06月22日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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