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    働く

    呼び出し音にビクッ…電話に出られないボクらの事情

    キャリアコンサルタント 上田晶美
     社会人になると、だれもが越えなければいけないハードルに直面する。その一つが電話の応対だ。取引先への電話や顧客からかかってくる電話に緊張するものだが、最近では、「迷惑だと思って電話をかけられない」「電話が鳴るたびにビクビクしてしまう」とずっと深刻だ。なぜ、若者は電話を怖がってしまうのか。新人研修などを通じて、若者の本音を聞いたキャリアコンサルタントの上田晶美さんが解説する。

    電話が鳴ったらオロオロ

    • (画像はイメージ)
      (画像はイメージ)

     最近、新人研修を請け負った会社から、「時間をかけてしっかりとやってほしい」と強く頼まれるのが「電話応対」です。

     以前から、新入社員が苦労して乗り越えるビジネスマナーの一つでした。それがここ数年、電話は若者にとって、ハードルどころではなく、大きく立ちはだかる壁になっているようです。

     「会社で自分の前の電話が鳴り、どうしていいか分からずオロオロしてしまった」

     「上司に『電話が鳴ったらすぐに出ろ』と責められ、会社に行くのが嫌になった」

     なぜ、最近の若者は、オフィスでの電話応対につまずいてしまうのでしょう。

     その理由は、みなさんも薄々お分かりかと思います。スマートフォンを含む携帯電話の普及とともに、固定電話の利用が減少しているためです。

     最近の若者は、固定電話に慣れていないのです。生まれてからこれまで、「家に固定電話がなかった」という人も珍しくありません。

     そればかりか、ツイッターやLINEなどのSNSを使ったコミュニケーションが主流となり、音声会話そのものを億劫(おっくう)と考える人も増えています。

     こうした実情を踏まえて、ビジネスの場で必要な電話応対について考えてみましょう。

    固定電話に出たことがない

     今の世の中、若者の通信手段の基本は、「携帯電話」か「スマートフォン」です。

     総務省が発表している「通信利用動向調査(2015年)」によると、スマートフォンを含む携帯電話の保有率(世帯)は95.8%に上ります。これに対し、固定電話の保有率は75.6%。つまり、4世帯のうち3世帯に固定電話は存在しています。

     この数字だけ見ると、意外と固定電話(イエデン)のある家庭も多く、「イエデンを知らない若者」と呼ぶには、ちょっと違和感があります。

     ただ、このイエデンの存在理由は、親の仕事がらみで仕方なく残っているとか、携帯電話に抵抗感を持つ祖父母との通話のためといったものです。かつてのように、「お父さんの古くからの知り合い」とか「お姉ちゃんの彼らしき人」といった、取り次ぐのにちょっと気を使いそうな第三者からかかってくることはまずありません。ほとんど使われていないというのが実態でしょう。

     新人研修に参加していたある男性にイエデンの失敗例を聞いてみると、電話を取り次ぐ際に、やらかしてしまったというエピソードを教えてくれました。

     それは、夕飯時に自宅の固定電話が鳴ったときのことです。台所にいた母親から「電話取って」と頼まれた男性は、受話器を持ち上げると、応対もせず、そのまま「はい、お母さん」と手渡したそうです。

     その理由もびっくりです。「だれからの電話か分からないのに、なんて言えばいいのか分からなかった」

     かかってきた電話に、「はい、○○です」「少々お待ちください」などと応じた経験がないと言うのです。

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    2017年07月02日 07時27分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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