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    スポーツ

    世界水泳開幕へ…池江璃花子ら高校生はここが違う

    元競泳日本代表 萩原智子
     世界水泳(競泳)が23日(現地時間)、ハンガリーのブダペストで開幕する。昨年のリオデジャネイロ五輪で活躍した池江璃花子(17)ら10代の女子選手たちが躍進する競泳ジャパン。「ゴールデンエージ」と呼ばれる世代は、今大会で結果を残し、3年後の東京五輪でメダル獲得につなげたいと意気込んでいる。この世代はなぜ強いのか。その理由を、元競泳日本代表の萩原智子さんに解説してもらった。

    首の太さが違う…体幹がすごい池江

    • (日本のエースに成長した池江選手)
      (日本のエースに成長した池江選手)

     池江は世界水泳の選考対象となった4月の日本選手権で女子史上初の5冠(50、100、200メートル自由形、50、100メートルバタフライ)を達成。飛びぬけた存在感をアピールした。

     この他の10代の女性選手たちも、同大会でレベルの高い記録をマークした。200メートルバタフライで代表権を獲得した長谷川涼香(17)は、100メートルまでが日本記録を上回るペースで泳ぎ、会場を沸かせた。同種目ではもう一人、牧野紘子(17)が代表入りを果たした。そして最後まで粘り切って、200メートル個人メドレーで代表入りを決めたのは今井(るな)(16)だ。それぞれが狙った種目で世界水泳の切符を獲得し、その後も本番に向けて練習を続けている。彼女たちはなぜそんなに強く速いのか。その秘密に迫ってみたい。

     まずは、日本のエースに成長した池江だ。昨年のリオ五輪女子100メートルバタフライ決勝でプールに姿を現した時、私は鳥肌がたった。五輪初出場とは思えないほど冷静で、何度も出場しているかのようなオーラに圧倒された。決勝で目標としていた56秒台をマークして6位に入賞。五輪の大舞台で狙ったタイムをきちんと出せたのだ。この強さは、本物といっていい。

     池江の強さは、水中姿勢を保つ「体幹」の強さだ。体幹が強いと体の軸がブレず、一直線に保つことが可能となる。そのため、抵抗が少なく、水面によく浮くことができる。池江の泳ぎを見ると水面から出ている体の面積が他の選手よりも多く、体が水に接する範囲が少ない。抵抗が少なければ無駄な体力を使うことがないため、最もきつい後半の失速を防ぐことができる。

     池江は2年半ほど前から、本格的な体幹強化メニューを取り入れてきた。特に目を見張るのは、首の太さで、ここ2年ほどでグッとたくましくなった。水泳では、頭がぐらつくと姿勢が悪くなり、フォームが崩れ、大きな抵抗を受けてしまう。疲れが出てくるレース後半は、この点が特に重要になる。スイマーにとって、頭部を支える首の強さは生命線ともなるのだ。首が太いのは、トップスイマーの勲章でもある。

     もう一つの特徴は、泳ぎの大きさだ。スピードを上げた時でも、フォームを崩さず、大きな泳ぎをすることで推進力を生みだしている。池江は幼い頃から鉄棒や雲梯(うんてい)で遊びながら、腕の強さや肩甲骨の動き、体のバランスを養ってきた。腕だけを回すのではなく、腕と肩をつなぐ肩甲骨の辺りを大きく使って泳ぐことができる。それは、より遠くの水をとらえることにつながり、多くの水を一度にかくことができる。すなわち、1ストロークで進む距離が伸びるのだ。

     日本の女子選手としては大柄な身長171センチの彼女は、その長い手足を実にうまく使いこなすことができている。手足が長ければ有利と思われがちだが、実はそれらを使いこなせるだけの体幹の強さや筋力がなければ、逆に抵抗を生む原因になりかねない。特に疲労がたまってくるレース後半は苦しい。身長180センチの私は現役時代、自分の体を使いこなすまでに時間がかかり、苦労したことを覚えている。

     池江は17歳にして、長い手足を効果的に使った大きな泳ぎができている。池江が腕を2回転させる間に、他の選手は3回転させる。これは、1ストロークごとに、より遠くの水をつかみ、押し切ることができているからだ。水の抵抗が少ない泳ぎともつながっている。

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    2017年07月14日 16時50分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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