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    社会

    NHK「ネット受信料」はなぜ問題か…「公共性」腰据えて議論を

    読売新聞メディア局編集部次長 中村宏之
     NHKが2019年からの実施を目指すテレビ番組のインターネット常時同時配信(ネット同時配信)の問題は、NHKから7月初旬、「ネット利用者に受信料の網を広げたい」という見解が示されて以来、放送事業者だけでなくネットユーザーの間でも大きな議論となっている。「ネットの世界に受信料を課すことは妥当なのか」「ネット空間における『公共性』とは何か」「ワンセグ訴訟のような受信料制度が抱える矛盾は解消されるのか」――など様々な論点が浮かび上がり、この問題への関心が一気に高まった。NHKが設置した有識者会議による答申と答申案を手掛かりに、ネット受信料を巡る議論について解説する。(読売新聞メディア局編集部次長 中村宏之)

    「本来業務」発言の波紋

    • 東京・渋谷のNHK放送センター
      東京・渋谷のNHK放送センター

     NHKの坂本忠宣専務理事が7月4日の総務省「諸課題検討会」(正式名称は「放送を巡る諸課題に関する検討会」)で、ネット同時配信について「将来的には(放送と並ぶ)本来業務と考えている」と述べ、ネット利用者にも受信料を課したいとの考えを正式に表明した。

     この発言は、NHKが設置した有識者会議「受信料制度等検討委員会」が6月末に発表した答申案(その後、1号答申として7月25日にNHK会長に手渡された)で、「常時同時配信は、NHKが放送の世界で果たしている公共性を、インターネットを通じても発揮するためのサービスと考えられ、インフラの整備や国民的な合意形成の環境が整うことを前提に、受信料型を目指すことに一定の合理性がある」との考えが打ち出されたことを踏まえてのものだった。

     筆者は、この「本来業務」発言が意味するところを前回の「ネット配信利用者にも受信料……NHKが開けた『パンドラの箱』?」で解説した。元TBSメディア総合研究所社長の氏家夏彦氏が「アゴラ」や「NEWS PICKS(ニューズ・ピックス)」といったニュース・解説サイトでこの記事を紹介してくれたが、その際のタイトルが問題の本質を突いていた。

     前者が「NHKの同時配信表明は、ユーザーとネット企業を敵に回す?」、後者は「NHKがネット企業の強敵となる日」だ。これまで「しょせんは放送業界の内輪もめ」と見られがちだったネット同時配信の問題が、いよいよネット企業やネットユーザーにも関わるリアルな問題として広範囲に認識され始めたと言えるだろう。

     とりわけネット企業やネットユーザーにとって重要だと思われるのは、「ネット空間における『公共性』とは何か」という論点だ。この点について、高市早苗総務相は7月20日、共同通信社の講演会で次のように指摘した。

     「先日の諸課題検討会で(1号答申案に)『ネットの公共性を重視すべき』という指摘もあったが、ネット上で公益性のある情報を発信している主体はNHKだけではない。その意味合いも法律上の位置づけも明確でないし、そうした考え方に基づき新たな制度を検討しろと総務省に言われても、それは容易なことではない。答申案を公表して終わりということではなく、問題意識を共有して、NHKとしての考え方を早急にまとめていただきたい」

    【あわせて読みたい】
    ・ネット配信利用者にも受信料……NHKが開けた「パンドラの箱」?
    ・NHKと民放、ネット同時配信めぐりバトル

    2017年07月31日 17時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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