文字サイズ
    IT

    「読売記事検索」で時空超えよう…キャンベルさん

    読売新聞メディア局データベース部
     明治から現代までの新聞記事を検索できる「読売記事検索( http://yomikiji.jp )」が8月1日、スタートした。新聞データベースは、どのように活用できるのだろうか。自身の研究に過去の記事を活用しているロバート キャンベルさん(国文学研究資料館長)は「まず、思いついた言葉を入力し、検索してみること。時空を超えた発見があるでしょう」と話している。(聞き手・メディア局データベース部 宮川美樹子)

    明治の新聞から幕末を探る

     読売新聞の図書館向け記事検索サービス「ヨミダス歴史館」を、前職の東京大学大学院教授時代から活用しています。このサービスは「宝の玉手箱」と呼ぶにふさわしいと思います。

     読売新聞は1874年(明治7年)の創刊以来、時々刻々と変わるさまざまな事象を記録してきました。そのおかげで、私たち現代の研究者は、創刊から20年前、30年前の、幕末の人々の暮らしにまで光を当てることができるようになったのです。

     例えば、江戸時代に神田祭や富岡八幡宮(東京都江東区)のお祭りで、出し物がどのように決められたのかは、なかなかつかめませんでした。ところが「ヨミダス歴史館」で明治初期の新聞を読めば、それが記録されている。人々の暮らしや習慣を、昔の新聞記事から照射し、類推できるようになりました。

    銀座「復興」の実像を読み解く

     東日本大震災や熊本地震を受け、今、近代史の研究で「復興」が大きなテーマになっています。私も明治5年(1872年)頃から100年ほどの銀座を“定点観測”しながら、文学的な視点から取り組んでいます。

     明治生まれの作家・水上滝太郎は小説「銀座復興」で、1923年(大正12年)9月1日に起きた関東大震災直後の銀座の様子と、そこでたくましく生きる人間群像を描きました。

     この作品には震災からわずか2か月後、銀座で「復興大売り出し」が開かれたことや、都内で最初に電気が回復したことなどが描かれています。

     私は最初、こうしたエピソードはフィクションだろうと思っていたのです。ところが、ヨミダス歴史館で調べたところ、そうした事実があったということが分かりました。

     また、数年前に東京・神保町の古書店で「建築写真類集 バラック建築」という本を見つけました。関東大震災から3か月後の12月5日に発行されたものです。

     震災後の銀座に続々と現れたバラック建築の写真集で、前書きに「新しい建築家、美術家、装飾家たちが『因習から離れた美しい建築のために』と決起した。そして無残を語る焼け跡のバラック市街を芸術化しようとした」とあります。震災からの復旧を千載一遇の機会として捉えていたことがうかがえます。

     本の写真は白黒で、詳しい説明はありませんでしたが、ヨミダス歴史館で「銀座 バラック」と検索すると、彫刻家の斎藤(さいとう)素巌(そがん)日名子(ひなこ)実三(じつぞう)による「バラック見物 仮装の銀座と浅草」という1924年3月の連載記事が見つかり、大喜びしました。

     素巌と実三は「御木本(ミキモト)真珠店」「山野楽器店」といった、震災後に建った建築物の一つひとつに芸術家ならではの批評を加えており、記事を読むと建物の詳細なデザイン、色合いまでがわかるのです。

     「バラック見物」という一見軽々しく響くかもしれない連載のタイトルも、江戸時代から続く、日本人の災害復興に対するメンタリティーを感じさせるものだと考えています。

    現代の言葉で過去を探る

     今回始まった「読売記事検索」は、ヨミダス歴史館とほぼ同じ内容が、自宅にいながら調べられます。

     パソコンやタブレット端末で手軽に検索できるのも、研究者にとってありがたい点です。古民家や神社での調査や、図書館の蔵書整理の際、手元ですぐに調べて裏づけを取ることができます。

     お薦めの使い方は、まず思いつくままに言葉を入れて検索してみること。きっと思いがけない発見があります。

     「レシピ」という言葉で「明治・大正・昭和」の記事を検索してみましょう。1万4000件以上の記事がヒットしますね。その中で、1903年(明治36年)11月8日付朝刊3面に「カジキ醤油附(しょうゆ漬け)」という握りずしの「レシピ」の記事が出てきます。

     「レシピ」という言葉は記事にありませんし、当時は使われていなかったと思われますが、こうして現代の言葉で過去を検索できるようにしてあるのも魅力です。

     スポーツファンなら「箱根駅伝」の長い歴史を振り返ったり、記憶に残る人名を検索して、古里の偉人の記録を探し当てたりするのも面白いでしょう。

     読売記事検索やヨミダス歴史館を開き、思い思いの言葉を入れて想像をふくらませ、時空を縦横無尽に飛び越えて遊んでみてください。

    2017年08月01日 14時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP

    目力アップ♪

    疲れをほぐして、イキイキと!