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    国際

    スマホ大国・中国、日本のはるか先を行くワケ

    キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 瀬口清之

    スマホ社会支えるフィンテック

    • 中国・北京ではシェア自転車が急速に普及し、通行の妨げになっているほどだ。2017年5月3日撮影
      中国・北京ではシェア自転車が急速に普及し、通行の妨げになっているほどだ。2017年5月3日撮影

     eコマース(電子商取引)と密接に絡み合いながら並行して発展しているのが、スマホ決済に代表されるフィンテック(金融と情報技術を融合した新サービス)である。

     例えば、友人たちと一緒に食事をして割り勘にする場合、その旨を会計の時に伝えると、レストランから人数の頭割りにした金額が各人のスマホに通知される。その金額を各人がスマホ決済することにより、割り勘の精算は一瞬で終わる。現金で払う時に必要だった面倒な暗算や、全員分のお金を集めて金額を確認する手間は不要である。

     また、昨年後半からサービスが始まり、今年に入って爆発的に普及した「モバイク」(乗り捨て自由のシェア自転車)には驚くばかりだ。

     地下鉄の駅の出口やショッピングセンター付近には、モバイク専用自転車置き場が設置され、多数のレンタサイクルが並んでいる。事前に200~300元(1元=16~17円)のデポジット(預かり金)を支払って業者に登録しておけば、サドルの後ろにぶら下がっている札にスマホをかざすだけで鍵を解錠し、自転車に乗ることができる。

    • 中国のシェア自転車はスマホでQRコードを読み取り、ロックを解除して使う
      中国のシェア自転車はスマホでQRコードを読み取り、ロックを解除して使う

     料金は1時間1元と格安で、乗り捨ては自由である。乗り捨てられた自転車は専門業者が回収し、専用の置き場まで運ぶ。中国では地下鉄の駅と駅の間隔が長いため、最寄りの駅から目的地まで距離があるケースが多い。このためモバイクのニーズはかなりある。

     モバイクのサービスは2016年4月に上海でスタートし、同年秋に北京で始まったばかりだが、今や北京、上海では街中のいたるところがモバイクだらけである。のみならず、シンガポール、英国、日本(札幌、福岡)へと、早くも海外展開が始まっている。

     中国のスマホ認証は、日本が開発したQRコードの読み取りに基づいている。これは、日本で一般的になっている非接触型のICチップに比べて導入コストが安い。生鮮食料品の自由市場(ファーマーズ・マーケット)でも、各売り場にQRコードが置かれていて、買い物をする時は、そこにスマホをかざすだけで簡単に決済できる仕組みになっている。

     こうしたスマホ決済情報は、アリババやテンセントといった大手eコマース業者によって一元的に集約管理されるため、個人の信用情報の分析が容易となる。スマホ決済に際して、一定期間、同じ銀行口座で引き落とし、1度もデフォルト(決済不履行)を起こしていなければ、その個人は十分信用できることが判明する。各人の日常の決済額に応じて与信限度額が自動的に算出され、それに基づいて消費者金融が行われている。

     そうした決済情報から判定される個人の信用度に基づいて、シンガポールなどに渡航する際のビザの取得のための審査も、即座に手続きが終わる仕組みまで導入されている。

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    2017年08月16日 09時38分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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