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    国際

    スマホ大国・中国、日本のはるか先を行くワケ

    キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 瀬口清之
     中国社会が急速な変貌を遂げている。スマートフォン(スマホ)を使った各種サービスが急速に普及し、日本のはるか先を行く「スマホ社会」になった。こうした一足飛びの発展が可能になった背景には何があるのか。そして、日系企業が中国市場で生き残るには何が必要なのか。中国経済の動向に詳しいキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の瀬口清之さんに寄稿してもらった。

    スマホに助けられた友人

    • 中国・北京の屋台ではスマホのアプリを使った決済が手軽にできる。2017年8月4日撮影
      中国・北京の屋台ではスマホのアプリを使った決済が手軽にできる。2017年8月4日撮影

     7月下旬に上海に出張した際、中国人の親しい友人がスマホ社会になった今の中国を象徴するようなエピソードを語ってくれた。

     彼は日頃から北京と上海を頻繁に行き来している。先日、北京から上海に向かう途中、北京の空港で身分証明書と財布を忘れたことに気付いた。チェックインカウンターで事情を話すと、航空会社の職員が「スマホさえ持っていれば問題ない」と教えてくれた。

     カウンターの近くに公安(中国の警察)の出張所があり、そこで臨時の電子身分証明書を発行してもらえる。手続きはいたって簡単。一定の書式に必要な情報を記入し、スマホで自分の顔写真を撮る。それを公安の担当者に送信するだけで、あっという間に電子身分証が発行された。それを保存したスマホを持って、改めてチェックインカウンターに行くと、何の問題もなく手続きを済ませることができたという。

     上海に到着した後はスマホのアプリを使ってタクシーを呼び、料金はスマホ決済で支払った。レストランの支払いもスマホ、買い物もすべてスマホでできる。

     彼は上海に実家があるので、ホテルに泊まる必要はないが、外資系のホテルでは宿泊代を支払う時にスマホ決済が認められないのが、唯一使えないケースである。ちなみに中国資本系のホテルであればスマホ決済で問題ない。こうして彼は上海での数日間、スマホだけで何不自由なく過ごして北京に戻った。

     彼は最近、名刺を持っていない。ビジネスの相手とはスマホをかざし合うだけで名刺情報が自動的にインプットされるからだ。また、生鮮食料品の購入や出前もスマホで連絡すれば30分程度で届く。彼は朝食もスマホで注文している。

     ちなみに、中国の飲食店では、出前するのは店員ではなく、個人のアルバイトであるケースが多い。先日、彼の家に夕食を届けに来たのは、背広にネクタイ姿の仕事帰りの紳士だった。職場からの帰宅途中にちょうど都合のいい飲食店の配送アルバイトの案件があったので、スマホでその仕事を引き受け、届けたそうである。アルバイト収入は1件20元(約340円)が相場である。

     以上のように、中国では日常生活の様々な分野でスマホを前提とした先進的サービスが普及しており、日本では想像もつかないようなスマホ社会が成立している。その進歩の速さは、中国人にとっても予想以上であり、日本に留学中の中国人学生がたまに帰国すると、変化の大きさに戸惑うほどだ。

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    2017年08月16日 09時38分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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