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    国際

    中国対インド、世界を動かすパワーゲーム

    住友商事グローバルリサーチ国際部シニアアナリスト 石井順也
     インドが中国への対抗姿勢を強めている。経済、軍事の両面でアジア全域に影響力を拡大する中国に対し、インドは戦略的な外交で中国の伸長を抑えようとしている。南アジアで繰り広げられる中印のパワーゲームは、アジアの未来を決めるとともに、世界情勢にも大きな影響を与えそうだ。住友商事グローバルリサーチシニアアナリストの石井順也さんに解説してもらった。

    国境地帯のにらみ合い

    • 8月15日、インド独立記念日を祝う式典で演説するモディ首相(AP)
      8月15日、インド独立記念日を祝う式典で演説するモディ首相(AP)

     「インドの安全は最優先事項である。海岸線、国境、空域、サイバー空間のいずれにおいても、インドは安全を確保する能力を有し、この国に対する脅威をはねのけるだけの強さを備えている」

     インドのモディ首相は8月15日の独立記念日の演説でこう述べた。名指しこそ避けたものの、領土問題をはじめ長年にわたり対立を続ける「宿敵」パキスタンや、最近、軍同士がにらみ合いを続けている中国を念頭に置いたものとみられている。

     インド陸軍と中国人民解放軍は、6月半ばからインド、中国、ブータン3か国の国境地帯でにらみ合いを続けている。インド政府によると、発端は、人民解放軍がブータン西部のドクラム高原で道路建設を始めたことにある。

     ドクラム高原は中国とブータンがともに領有権を主張する係争地域で、ブータンは中国が「領土を侵犯した」と主張し、外交や安全保障で関係の深いインドに軍の派遣を要請した。インドは部隊を派遣。中国はこれを「領土侵犯」として非難し、即時無条件の撤退を要求している。

     報道によれば、中国とインドそれぞれ300人の兵士がわずか150メートルの至近距離に駐屯しているという。衝突は起きていないが、緊迫した状況は2か月以上続いている。

     ドクラム高原はインドの北東部のシリグリ回廊の北方に位置する。中国がドクラム高原を支配すれば、交通が遮断されてインド北東部7州が孤立するおそれがあり、インドにとっては死活的に重要な地域といえる。

     中国とインドはお互いを非難する一方で、軍事的な衝突を避けるべく慎重な姿勢をみせている。7月の主要20か国・地域(G20)首脳会議ではモディ首相と習近平国家主席が会談。独立記念日の演説では中国への直接的な言及は避けられた。9月初めには中国・アモイでブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5か国(BRICS)首脳会議が予定されている。それまでに何らかの解決をはかるか、遅くとも冬将軍の到来までに両軍は撤退するという見方が有力である。

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    2017年08月23日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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