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    国際

    北朝鮮「核・ミサイル」を巡る不都合な真実

    防衛大学校教授 倉田秀也
     北朝鮮が核・ミサイル技術の開発を着々と進めている。彼らの過激なレトリックに惑わされて「北朝鮮は理解不能」と考えがちだが、冷静に見てみると、彼らは米国に対する抑止力の獲得という長期目標を達成しつつある。さらに、米国や中国といった大国の間でうまく立ち回っていて、なかなか侮れないのだ。激変する北東アジア情勢の中で、我々が直視すべき現実とは何か。防衛大学校の倉田秀也教授に聞いた。(聞き手・読売新聞メディア局編集部次長 田口栄一)

    必要な実験、着々とこなす

    • 9月3日、核実験を伝える北朝鮮国営の朝鮮中央テレビの映像を見るソウルの人たち(AP)
      9月3日、核実験を伝える北朝鮮国営の朝鮮中央テレビの映像を見るソウルの人たち(AP)

    ――北朝鮮が9月3日、核実験を行いました。このタイミングで核実験を強行した理由は何だと思いますか。

     北朝鮮は当面、米国に攻撃されないような抑止態勢を確立する上で必要な実験をやっている。実験をするタイミングを何かの記念日に合わせることもあるが、それは国内の士気高揚のためであって、それを主目的にしているわけではない。

     軍事技術にはいろいろな関門があって、ある段階を超えて次に行くにはやらなければならない実験がある。それを着実にこなしている。よく使われる「挑発」とか「暴走」という言葉には違和感を覚える。

    ――北朝鮮は今回、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)の装着用の水素爆弾の実験で完全に成功した」と発表しています。この情報をどう見ますか。

     2016年1月の4回目の核実験を北朝鮮が「水爆」実験と主張した時、それを額面通りに受け止める専門家はほとんどいなかった。仮にそれが「水爆」実験であったとしても、1年8か月の間に、水爆による弾頭実験に成功したとすれば驚きだ。

     確かに、観測された160キロ・トンという爆発規模からみれば、部分的にせよ核融合技術が進展したことは考えられる。公開された弾頭も水爆の形状をとっているが、これも米国と北朝鮮国内に対する誇示かもしれない。

    グアム沖発射、可能性は消えず

    ――今年8月29日には北海道上空を越えて、弾道ミサイル「火星12」を発射しています。これは何を狙ったものでしょうか。

     ICBMを撃つなら、高角度で打ち上げる「ロフテッド」軌道で飛距離を縮めて高く飛ばすか、南方に向けて「極軌道」で飛ばすかしかない。それをせずに日本を飛び越えるミサイルを撃ったということは、グアムを意識したものだと考えざるをえない。

     北朝鮮からグアムまでは約3400キロ。今回、45度という一番飛距離が出る角度で発射したのに2700キロという中途半端な飛距離だった理由はよくわからないが、何か不具合があった可能性を示唆しているという見方には同感だ。

    ――ただ、トランプ大統領はグアムを狙えば「炎と怒り」に直面すると警告しています。

     今回のミサイル発射を受けて米国はグアムからB1―B戦略爆撃機を韓国に展開させた。北朝鮮がグアム近海にミサイルを発射することは許さないというサインだ。ただ、北朝鮮のグアム沖へのミサイル発射計画自体は死んでいない。米国が何もしないと見れば、ミサイルを撃つと思う。

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    2017年09月07日 12時57分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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