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    経済

    「広告なし」のあの雑誌、挑戦の舞台裏

    読売新聞メディア局編集部 中根靖明
      コンビニエンスストアや書店の棚の目立つ位置で、女性誌の「LDK」や、モノ雑誌の「MONOQLO(モノクロ)」などを見かけたことがある人も多いだろう。これらの雑誌は、広告を掲載しないことで、メーカーの意図を差し挟まず、徹底して客観的な視点で商品の性能などを調査する「テスト誌」だ。実は、業界では異例の成功を収めた雑誌として知られる。なぜ、こうした雑誌が売れるのか。発案者で、現在は発行元の 晋遊舎 ( しんゆうしゃ ) の社長を務める西尾崇彦さん(40)に話を聞いた。

    利益は「右肩上がり」

    • インタビューに応じる西尾社長(東京都千代田区で)
      インタビューに応じる西尾社長(東京都千代田区で)

     ――女性向けの雑貨などのテスト雑誌「LDK」は、2012年の創刊以来すごく発行部数が伸びたそうですね。

     3倍以上ですね。6万部からスタートして21万部まで行きました。そのほか、モノクロが10万部、家電テスト誌の「家電批評」が8万部です。どの雑誌も実売率(実際の販売部数÷発行部数)で6割を目標にしていて、そこは超えています。LDKに関しては常に7~8割台をキープしています。経営は黒字化できていますし、利益も基本的には右肩上がりになっています。去年から今年にかけては特に上がっていると思いますね。

     ――雑誌の実売率はブラックボックスで、わかりにくいものなのですが、6割で利益が出るものなのでしょうか。

     6割で十分ペイ(商売として成り立つこと)しますね。今、日本の雑誌では3~4割なんてものが当然のようにありますから。3割では廃刊になるレベルですが、1回出してしまうとなかなか簡単には廃刊することもできないのです。

     確かに、広告が入れば、雑誌そのものの売り上げとは全く別の収入も入ります。雑誌の損益分岐点は、ものにもよりますが5割前後でしょうか。5割を切ってしまうと、かなりきつい。そうした状況なので、6割になるよう(晋遊舎では)計算して本を作っています。商品テストで外部の調査機関にデータを出してもらうよう依頼すると相当な経費がかかるのですが、そこはうまくやっています。

     今は電子書籍やスマートフォンの「読み放題サービス」などの販売経路も多様なので、紙の雑誌が売れなくても、電子書籍などと組み合わせればペイするケースもあります。ムック本(雑誌と書籍の両方の性格を持つ本。晋遊舎の場合はモノクロなどに載った記事を再録し、特定の分野だけの記事で再構成したもの)も大きな収益源になっています。

     ただ、実際に6割は売れないと、やっている意味がないと思っています。ムック本もあわせたビジネスモデルで会社が成り立っているのが実情でしょうか。

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    2017年09月26日 07時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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