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    スポーツ

    桐生と山県…10秒の壁をめぐるライバル物語

    読売新聞大阪本社運動部 平野和彦
     陸上・男子100メートルで日本勢のレベルアップが目覚ましい。その中心にいるのが、桐生祥秀(21)と、 山県 ( やまがた ) 亮太(25)だ。9月9日に桐生が日本人で初めて「10秒の壁」を突破する9秒98を出せば、約2週間後の24日には山県が日本歴代2位に並ぶ10秒00をマークした。日本短距離陣を引っ張る2人のライバル物語に迫った。

    「抜いたり抜かれたり」が始まる

    • 日本学生対校選手権男子100メートル決勝で、9秒98のタイムで優勝した桐生。日本人初の9秒台突入だった(2017年9月9日、吉野拓也撮影)
      日本学生対校選手権男子100メートル決勝で、9秒98のタイムで優勝した桐生。日本人初の9秒台突入だった(2017年9月9日、吉野拓也撮影)

     桐生が9秒98をマークしたレース後に、ちょっとしたドラマがあった。

     携帯電話に400通を超えるメッセージが届くなか、桐生は「おめでとう」とつづられた1通のメッセージに目を止めた。送り主は山県だった。最大のライバルに祝福され、桐生は「泣きそうになった。もし山県さんが先に9秒台を出したら、僕は『おめでとうございます』と言えたか、正直分からない」と感激した。

     後日、山県は「まずは悔しかった。でも、9秒台は僕自身、すごく憧れているタイムだし、お互いになかなか出せなかったので、素直にすごいなと思った」と当時の心境を語った。ただ、すぐに勝負師の顔に戻り、「持ちタイムこそ差はあるけど、自分の中ではヨーイドンで走ったら負けないという思いはある」と力を込めた。

     24日に行われた全日本実業団対抗選手権の決勝で、山県は自己ベストを0秒03縮める10秒00をマークしてみせた。追い風はわずか0.2メートル。桐生が記録を作った時は追い風1.8メートルだったことを考えると、条件にもう少し恵まれていれば、日本人2人目の9秒台はもちろん、日本記録を更新した可能性もあった。

     山県は「(9秒台に届かず)残念だけど、これでいけそうという気持ちが強い。いい感覚をつかめた。この調子を維持すれば、9秒台は出る」と自信を深めた。桐生はツイッターで「バンバン抜かれたり抜いたりが始まるんやろな」とつぶやき、ライバルの好記録を歓迎した。

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    2017年10月03日 07時50分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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