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    教育

    教師の働き方改革が進まない学校の「世論知らず」

    名古屋大准教授 内田良

    危機感のない学校現場

    • (画像はイメージ)
      (画像はイメージ)

     私はこうした学校現場の現状を、重大な危機感を持って受け止めている。

     というのも、これまで学校教育の問題が報じられるとき、それは必ずと言っていいほど、教員批判の文脈においてなされるからだ。

     学校で事故や事件が表沙汰になると、教員の資質や学校の監督責任が問われるのが定番だ。

     それがここ数年は、教員はむしろ批判されるどころか、救い出される存在となった。奇跡的で有り難い事態である。

     たとえるなら、かつては本丸の学校に対して、その外堀を埋めるべく世論が戦車で攻め込んでいた。それが今日では、世論は救急車を寄せて、外堀を埋め、教員を助け出そうとしているのだ。

     この千載一遇のチャンスに、学校がもし「世論知らず」の調子で、部活動改革を含む働き方改革に消極的な態度を続けるならば、世間の関心はすぐに失われてしまうだろう。

     そして、そこに待っているのは、教員批判一色の再来である。いまこの機を逃せば、これから数十年、学校現場はもっとブラックになっていく。そのときに「助けて」と叫んでも、もう誰も見向きもしない懸念すらある。

    中学校の教員6割が「過労死ライン」超え

     2016年度に10年ぶりに実施された文部科学省の教員勤務実態調査は、改めて全国の学校現場の過酷な勤務状況を明らかにした。

     これによると、国が示す「過労死ライン」に達する週20時間(月80時間)以上の「残業」をした教諭は、小学校で33.5%、中学校では57.7%に達した。多くの教員がいわゆる「過労死ライン」を超えている。

     ここで懸念すべきは、教員の残業時間が「過労死ライン超え」ということだけではない。その時間外勤務の扱いに留意しなければならない。

     平日に部活動などの各種業務でどれだけ遅くまで残ったとしても、教員に残業代はいっさい支払われない。

     土日については、部活動を指導したところで、割増賃金が支払われるどころか、最低賃金以下で働いている。部活動に関係のない雑務の場合には、「ただ働き」となることがほとんどだ。

     これが、自由な選択であるならまだしも、部活動指導は多くの教員に半ば強制されている。部活以外の業務や雑務の多くは、やむなく時間外のただ働きを強いられている状況がある。

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    2017年10月05日 07時15分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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