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    国際

    トランプvs米メディア…壮絶バトルの裏側

    読売新聞調査研究本部主任研究員 大内佐紀
     トランプ米大統領から連日のように「フェイクニュース」と名指しされる米主流派メディア。メディアと政権の関係や、事実を国民に届ける難しさについて、日本記者クラブの米国メディア取材団の一員として9月下旬、ワシントンを訪れた読売新聞調査研究本部の大内佐紀主任研究員が報告する。

    史上、最も取材しやすい大統領

    • 米メディアと連日のようにバトルを繰り広げるトランプ大統領(AP)
      米メディアと連日のようにバトルを繰り広げるトランプ大統領(AP)

     トランプ大統領が「国民の敵」と口汚くののしる主流派メディアの代表格であるワシントン・ポスト紙。7人の担当記者は、ホワイトハウスとさぞかし険悪な関係にあるのかと思いきや、日系のデビッド・ナカムラ記者は意外な事実を口にする。「実は、トランプ氏はオバマ氏に比べても、歴代大統領に比べても、最も取材しやすい。インタビューを受けるのも、記者団に囲まれるのも大好きだ。電話をかければ出てくる」。オバマ前大統領と比較すると、「オバマ氏の方が、自分が伝えたいメッセージを厳密にコントロールしていた」との印象を持っているという。

     トランプ大統領がハリケーンの被害を視察するためフロリダ州を訪れた時のこと。大統領専用機から降り立ったトランプ氏は、待ちかまえる車列にまっすぐ向かわず、ナカムラ氏を含む同行記者団の方までわざわざ歩いてきて質問に答えた。ワシントンに戻る機中でも、後方の記者団の席まで足を運んで取材に応じる。

     「トランプ氏が我々を絶えず批判するのは、ひとえに自らの支持層に対しアピールするためだ」とナカムラ氏は見ている。トランプ氏は再三、米国のエスタブリッシュメント(エリート支配層)と戦う姿勢を強調しており、主流派メディアをその一員に位置づける。

    • ポリティコのダニエル・リップマン記者
      ポリティコのダニエル・リップマン記者

     トランプ氏がメディアの中でも特に“敵視”するのがポスト紙とニューヨーク・タイムズ紙だ。その理由についてナカムラ氏は「トランプ氏はインターネットを駆使するタイプではなく、紙の新聞を読んでいる。だから、ポスト紙の報道を気にする」と説明する。テレビではケーブルテレビの代表格CNNと、昔ながらのABC、CBS、NBCの3大ネットが批判の対象だ。その意味で、大統領のメディア観は守旧派といえるのかもしれない。

     ただ、情報のリークは、メディアの新旧を問わず満遍なく行われているようだ。新興のネット・メディアでワシントンの政治に特化した報道を行うポリティコのダニエル・リップマン記者は「醜聞あり、問題ありの政権だ。我々も大統領から攻撃されまくっているが、これほど政府高官のリークが多い政権はないと思う。みなが、自分の意見を記事に反映してもらいたがっている」と肩をすくめた。

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    2017年10月06日 12時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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