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    国際

    トランプvs米メディア…壮絶バトルの裏側

    読売新聞調査研究本部主任研究員 大内佐紀

    「事実チェック」専門のサイトも登場

    • ポリティファクトのアンジー・ホラン編集長
      ポリティファクトのアンジー・ホラン編集長

     ファクト・チェック(事実のチェック)を専門にしたニュースサイトも出てきた。2007年に創設された「ポリティファクト」のアンジー・ホラン編集長は「オバマ前大統領とは比べようがないほど、トランプ大統領は発言をチェックする必要がある」と痛感している。「先の大統領選では数百万人が違法に投票した」「(予備選でライバルだった)クルーズ上院議員の父親はケネディ大統領の暗殺に関与した」――。トランプ氏の発言を「事実でない」と認定した例には事欠かない。「現政権下、我々の仕事はますます社会に評価されている」とホラン編集長は手応えも感じている。

     だが、本当にファクト・チェックの結果を知る必要がある人には、そのニュースが届いていないことも自覚しているという。「人は信じたいものを信じる。我々の読者は限られていて、もともと偏見がなく、広い心を持つ人しか我々の記事は読まない」と話し、事実に目をつぶる人が「本当に多い」と嘆く。ちなみに、現政権は、いかにポリティファクトが大統領の発言を「ウソ」と認定しても何の反応も示さないという。「反論のしようがないのか、どうでもいいと思っているのか……」。ホラン氏は苦笑いした。

     「多くの人は、トランプ大統領が事実をねじ曲げていることはわかっている。それでも、『彼(トランプ氏)の方が主流派メディアよりもオレの味方だ』と思っている」。報道機関研究所のローゼンスティール氏はそう指摘する。ワシントン・ポスト紙のメディア評論家マーガレット・サリバン氏は「フェイク(偽)ニュースとフォールス(false=誤った)ニュースが混同されていることが問題だ」と眉をしかめる。

     ポスト紙のバー編集局長は「一般の国民がアクセスできない情報を正確にきちんと伝えること。どのように政策が決定され、どのような影響があるかを正確に伝えることを国民は支持してくれている」と強調する。ただ、見たいニュースを人々が選択する時代に、米国でファクトを広く国民各層へ伝えることの難しさは確実に増しているようだ。


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    プロフィル
    大内 佐紀(おおうち・さき)
     読売新聞調査研究本部主任研究員。1986年入社。主に国際報道に携わり、ワシントン、ジュネーブ、ロンドン各特派員。英字紙ジャパン・ニューズ編集長、編集局次長などを経て2017年6月から現職。

    2017年10月06日 12時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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