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    社会

    銭湯絵はアートだ…伝統受け継ぐ女性銭湯絵師の挑戦

    銭湯絵師 田中みずき
     10月10日は、銭湯( 10 ( セン ) 10 ( トウ ) )の日。銭湯といえば、壁一面に描かれた富士山の絵を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。銭湯の数が年々減少するに従い、そうした「銭湯絵」を専門に描く絵師も減り、一時は国内でわずか2人になったという。そんな中、後継者に名乗り出たのが田中みずきさん(34)という若い女性だ。8年間の修業を経て2013年に独立し、現在は企業の広告を銭湯の壁に描くなどの新たなアプローチで注目を集めている。銭湯絵を後世に残そうとする田中さんの思いを聞いた。(聞き手 読売新聞メディア編集部 河合良昭)

    ――なぜ、この道に進んだのですか?

    • 銭湯絵を描く田中さん
      銭湯絵を描く田中さん

     大学では美術史を専攻していました。卒論を何にしようかと考えたとき、横尾忠則さんなどの好きな画家が銭湯を題材に絵を描いていたことを思い出し、銭湯絵をテーマに決めました。2004年、大学2年の冬で21歳のときです。それで調査を始めました。

     私は大阪府に生まれ、東京都文京区で育ちました。家の近くに銭湯があったのですが、実は一度も行ったことはありませんでした。卒論の研究のために初めて近所の銭湯に行き、大きな湯船につかりながら富士山の描かれた銭湯絵を見ていると、もくもくと上がってきた湯気が絵の中の雲に重なり、見ている自分が絵の中に吸い込まれそうな感覚でした。私は元々、鑑賞者が参加することで作品が成立する「インタラクティブ・アート」という芸術をやりたかったのですが、銭湯絵は美術館で額縁の中に入った絵を鑑賞するのとは違い、人々の生活の場に絵が存在しています。銭湯を訪れる人がいて作品が成り立っているので、これも「インタラクティブ・アート」の一種だと思いました。


    2017年10月10日 12時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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