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    経済

    還元率ダウンの「ふるさと納税」に注目すべき理由

    フリーライター・FP 阿部祐子
     住民税の約2割を、自分が選んだ自治体に寄付できる「ふるさと納税」制度。返礼品として肉や果物などの特産品のほか、高価な家電製品や商品券などを贈る自治体が続出したことで人気は過熱気味になり、総務省が乗り出して歯止めをかける事態となった。最近は、自治体側にも、寄付する人の意識にも、ある「変化」が見られるという。フリーライターでファイナンシャルプランナー(FP)の阿部祐子さんに解説してもらった。

    返礼品競争激化で「通達」

     ふるさと納税を使った寄付の受け入れ総額は、増加の一途をたどっている。制度が始まった2008年度には約81.4億円だったが、16年度はその30倍以上となる約2844億円に達した。

     これほど活発になった最大の理由は、なんと言っても「返礼品」の充実だろう。

     ふるさと納税で寄付した額は、原則2000円を差し引いた分だけ住民税などが軽くなる。「寄付」といっても元々納税すべきお金で、実質的には「納める先を替えるだけ」とも言える。

    • 写真はイメージです
      写真はイメージです

     一方、自治体が用意する「返礼品」は年々豪華になり、特に財政が苦しい自治体が寄付金集めを目当てに、高級牛肉や海産物などの高額な特産品のほか、商品券や旅行券、家電など換金性や資産性の高い品を用意するケースが頻発した。返礼品の還元率(寄付額に占める返礼品の価格の割合)が自治体に委ねられていたためで、中には「寄付額以上」の返礼品を用意していた自治体もあるという。

     激しい「返礼品競争」を背景に、「実質2000円でテレビがもらえる」といった評判も広がった。「寄付しないと損」と考える人も増えた。

     その一方、あまりの過熱ぶりに、「地域を支援するという、本来の目的からかけ離れている」という批判の声が大きくなった。制度を所管する総務省は今年4月、「返礼品の還元率は寄付額の3割までに抑えるべき」という通達を出した。競争にひとまず、「ブレーキ」をかけた格好だ。

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    2017年11月24日 07時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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