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    経済

    バナナはおやつですか?ノーベル経済学賞の答え

    ファイナンシャル・プランナー 中嶋よしふみ
     2017年のノーベル経済学賞に決まった米シカゴ大のリチャード・セイラー教授は、経済の分析に心理学的な手法を応用する「行動経済学」の発展に貢献した。行動経済学が従来の経済学と大きく異なるのは、「人は合理的に行動しない」と考える点だ。行動経済学を知ると、私たちの生活に変化が生まれるだろうか。ファイナンシャル・プランナーの中嶋よしふみ氏に解説してもらった。

    お金の扱い方を決める「心の会計」

    • (画像はイメージ)
      (画像はイメージ)

     行動経済学には「メンタルアカウンティング」という考え方がある。「心の会計」や「心の家計簿」などと訳され、支出やお金の()め方など生活の様々な場面で「お金に色を付ける」行為がそれにあたる。

     同じ10万円でも、給料からコツコツと切り詰めてきた貯金と、宝くじや競馬で運よく得たお金では扱い方に違いが出ることは珍しくない。同じ金額なのに、「運よく得たお金はパッと使ってしまいがち」という話は、非合理ではあるものの、「あるある」と思わずうなずいてしまう。

     小学生の頃、遠足に持って行くおやつの金額が決められていると、「バナナはおやつですか?」というお約束の質問をする子がいる。バナナは弁当の一部なのか、それともおやつなのか――。これもまた、メンタルアカウンティングに象徴される事例の一つと言えそうだ。

    メンタルアカウンティングの罠

     このメンタルアカウンティグを最も上手(うま)くビジネスに利用しているのは保険会社だろう。行動経済学を理解するために、まず、保険契約を例に説明したい。

     ファイナンシャルプランナー(FP)として保険に関する相談を数多く受けているが、これまで、「見直しの必要がない」と言える夫婦は1組もいなかった。

     保険に加入する顧客の多くは、保険に関する知識が乏しく、保険料は安い方が良いけれど、何も入らないのは不安と考えている。一方、保険会社や保険代理店は、できるだけ加入してほしいが無茶(むちゃ)な売り込みをすると客に逃げられてしまうためギリギリの線を見極めて提案する。

     「パートナーが亡くなった後、残された家族がどのような生活を送りたいか」

     「必要な保険とそうでない保険の優先順位をどう考えればいいか」

     保険に加入する際、考慮されるべきこうした重要な内容が抜け落ちてしまうことがある。その結果、加入者はそれなりの保険料を払っているのに、保障内容がいまひとつというプランに加入してしまっている。

     保険に加入するときに陥ってしまうメンタルアカウンティングとはどんなものだろうか。

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    2017年12月03日 11時11分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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