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    自動車

    究極のエコカー?EVは矛盾を乗り越えられるか

    エンジン技術コンサルタント 畑村 耕一

    「CO 削減は建前」か?

     1980年代の日本の自動車メーカーは大量生産技術で欧米のメーカーに追いつき、90年代に入るとあらゆる関連技術で日本の企業が世界の最先端を行くようになった。日本のメーカーの視線は、エンジンとモーターの力を併用する「ハイブリッド車(HV)」の開発に向かった。

     日本の技術力に驚いた欧州は、複数のメーカーが共同で資金を出し合い、いかに対応すべきかで本格的な共同研究を始めた。その中で、日本との競合を避けられるディーゼルエンジンに注力した。

     しかし、VWの不正が発覚。焦った欧州メーカーは日本勢がトヨタを中心にHVに注力する中、猛烈な勢いでPHVを普及させようとしているのだ。

     日本のトヨタ、ホンダ、日産のHV技術は着実に進化している。世界最高クラスの燃費を実現した最新のトヨタ・プリウスの実質的な燃費は、ガソリン1リットル当たり20キロを大きく超えると見られる。

     さらに、エンジンの領域ではマツダがリードしており、ガソリンエンジンの燃費も大幅に向上させている。19年には、従来より燃費性能を約3割高めたエンジン「スカイアクティブ-X」を投入予定だ。マツダはクリーンディーゼルエンジンでも排出ガスを最小限に抑える技術の開発に成功している。

     このような背景を考え合わせると、欧州各国の動きはあたかも、PHVを除くエンジン搭載車を締め出す動きのように見えてしまう。「CO削減」はあくまで建前で、自国の産業を保護したい、というのが欧州各国のEV熱の本質なのでは、と筆者は見ている。

     中国は19年から自動車メーカーに、製造・販売台数の10%をEVなどにするよう義務付ける「新エネルギー車法」を導入する。筆者は、こちらにも同じような狙いがあるのではないかと思っている。現在、中国国外でほとんど販売されていない中国車の存在感を高めたい思惑もあるのではないか。

    • 写真はイメージです
      写真はイメージです

     内燃機関を必要としないEVの構造は単純だ。日本が得意とする繊細な技術、たとえば部品などに微妙な調整を加えて複雑な機構を組み上げる「擦り合わせ」の技術は必要ない。家電と同じで、中国企業の独壇場になる可能性が高い。

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    2017年12月21日 07時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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