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    国際

    よりよい生活、ゲーム中毒…流行語に見る中国の世相

    北海道大学大学院付属公共政策学研究センター研究員 西本紫乃
     今月、中国広東省の週刊紙『南方週末』系の雑誌『新週刊』が中国の世相を表す「十大キーワード」を発表した。メディアの報道やネット上の書き込み、日常の会話などで今年、注目を集めた10の言葉を同誌が独自に選んだものである。政治がらみの言葉のほかに、流行や人々の関心を反映したものが選ばれている。そこからどんな世相が読み取れるのか。北海道大学大学院付属公共政策学研究センター研究員の西本紫乃さんに寄稿してもらった。

    5年に1度、党大会の年

    • 中国共産党大会に臨む習近平総書記(北京の人民大会堂で)=10月18日撮影
      中国共産党大会に臨む習近平総書記(北京の人民大会堂で)=10月18日撮影

     5年に1度の共産党大会が開かれた今年、中国では政治的な緊張感の高まりとともに、社会における安定の維持が重要視された。習近平(シージンピン)政権が推進する反腐敗運動で大物党員が続々と失脚し、党大会とその前後の地方人事では習氏の権力固めが進んだ。

     そうした中、人々の暮らしの領域ではモバイル決済が爆発的に普及し、自転車をはじめとするシェアリング市場が急成長するなど、新しいサービスが拡大している。2017年の中国は、硬直化する政治の世界と活気ある市民生活が対照的な姿を描き出した一年だった。それでは、「十大キーワード」を掲載順に読み解いて行くことにしよう。

    新たな5年のスタート…「十九大」(第十九回党大会)

     「十九大」。習政権の2期目のスタートの節目となる第19回党大会の略語である。今年、間違いなく最も多く中国の人々の耳目に触れた言葉だろう。

     党大会の数か月前から、テレビや新聞だけでなく、街中に貼られたポスターや横断幕のスローガン、スマホアプリのニュースなどを通じて、習政権の過去5年間の成果と今後5年間の政治方針が繰り返し発信された。

     党大会開幕式における習主席の3時間以上にわたる政治報告では、「新時代」という言葉が36回も使われた。このほかにも、「新しい枠組み」「新しい情勢」「新たな道のり」「新たな成果」などの表現を用いて、目指すべき国家像の「新しさ」が強調された。

     イデオロギー統制の強化を反映してか、習氏の報告を伝えるテレビ中継を職場単位で視聴したところが数多くあった。中には、教師が園児に中継を見せた幼稚園まであり、さすがにそれは「前時代的だ」と、人々の失笑を買った。

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    2017年12月29日 10時22分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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