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    国際

    先端産業でひた走る中国、日本にもチャンス

    キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 瀬口清之
     多くの先端企業を生み出した中国・深セン(土へんに川)に世界の注目が集まっている。高度な研究開発と製造技術を瞬時に結びつけるネットワークによって、次々と新しい製品やサービスが生まれているのだ。中国は今や先端産業の分野でも世界をリードしつつある。加えて、深センをモデルとする「雄安新区」構想も動き出した。ひた走る中国で日本勢はどこに活路を見出せばいいのか。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の瀬口清之さんに寄稿してもらった。

    経済発展支えるハイテク企業群

    • 高層ビルが林立する深セン
      高層ビルが林立する深セン

     リーマンショック後、中国が世界の経済成長をリードするようになってから7、8年が経過した。中国の国内総生産(GDP)はドルベースで2009年に日本に追いつき、国際通貨基金(IMF)が17年10月に発表した「世界経済見通し」によると、今年は日本の2.4倍に達する見込みである。

     その中国の主要都市の中で、華為(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)、騰訊(テンセント)、ドローン大手「DJI」など、多くの先端企業を生み出す目覚ましい経済発展都市モデルとして注目されているのが深センだ。米シリコンバレーの先端企業と緊密に連携しながら、高度な研究開発力と製造技術を瞬時に連動させて急成長する企業の集積地となっている。

     中国の製品といえば、以前は低価格だが質では劣るものが多かった。しかし、今やスマートフォン、電子商取引(eコマース)、金融とITを組み合わせたフィンテックなどの分野では、欧米先端企業が脅威を感じるほど技術力が急伸しており、これらの分野で日本企業が追いつく可能性はほぼなくなったと言わざるを得ない。

     たとえば、以前は普通に現金でもクレジットカードでも支払いができたレストランが最近になって急にスマホ決済だけに変わってしまい、現金もカードも受け付けなくなったという話は珍しくない。普通の日本人がこうした話を聞いても耳を疑うばかりで信じようとしないが、中国の都市部に住む人たちは最先端技術に基づく社会インフラの急激な変化を当たり前のように受け入れて暮らしている。

     これらの分野では日中間の技術格差が短期間に急拡大してしまったため、テレビ、新聞、雑誌などの報道で説明を見たり聞いたりしても、一般の日本人にはその差を実感として理解することができない。先端的な社会インフラ、企業活動、家庭生活などに劇的な変化をもたらし、さらに加速させているのが、深センの企業を代表とする中国のハイテク企業群である。

     世界知的所有権機関(WIPO)が発表した2016年の特許国際出願件数の企業別の世界ランキングで1位はZTE(4123件)、2位は華為(3692件)と、深センの企業がワンツーフィニッシュを飾った。ちなみに、3位は米国のクァルコム(2466件)、4位は日本の三菱電機(2053件)である。

     国別では1位が米国(5万6595件、前年比マイナス0.9%)、2位が日本(4万5239件、同プラス2.7%)、3位が中国(4万3168件、同プラス44.7%)だったが、上位2国を中国が猛追しており、このままのペースで行けば17年は中国がトップに躍り出そうな勢いである。

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    2018年01月16日 09時41分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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