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    スポーツ

    平昌五輪の現場で見た南北融和の建前と現実

    読売新聞編集委員 結城和香子
     北朝鮮と韓国の選手団による開会式の合同入場行進や、アイスホッケー女子の合同チーム結成が注目された平昌五輪。9日に開幕する平昌パラリンピックでも、冬季大会では初となる北朝鮮の参加が確定し、開会式での合同行進が行われる見通しだ。ところが、五輪競技の現場や舞台裏では、賛美された融和の象徴の姿とは異なる、漠とした違和感が影を落としていた。

    リハーサルなしの聖火点火

    • 開会式で、アイスホッケー女子の韓国・北朝鮮合同チームの選手から聖火を受け取り、笑顔で手を振る最終点火者のキムヨナさん(右)(2018年2月9日、若杉和希撮影)
      開会式で、アイスホッケー女子の韓国・北朝鮮合同チームの選手から聖火を受け取り、笑顔で手を振る最終点火者のキムヨナさん(右)(2018年2月9日、若杉和希撮影)

     開会式で聖火の最終点火者を務めたキムヨナさん(韓国)がにっこりした。

     「実はリハーサルもなにもなく、(聖火を引き継いだアイスホッケーの2選手とは)初対面だったんです。だから2人とは、目で合図をして……」

     開会式翌朝の記者会見。聖火台の下で氷上の舞を披露する前に、北朝鮮と韓国出身の2人のアイスホッケー選手から、聖火を手渡された場面の回想だ。

     開会式のハイライトが、ぶっつけ本番?

     聖火点火者を秘密にするためでもあるのだろうが、もう一端の理由が、トーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長の発言からうかがえた。

     「一例を挙げよう。開会式での南北合同行進などの詳細が決まったのは、当日の午後4時だった。多くの議論が必要だったからだ」

     これは五輪最終日の総括記者会見で、「2020年東京五輪で南北合同行進があり得るか」と聞かれた会長が「遠い先のことは分からない」という事例として明かしたものだ。なるほど、これだけせっぱ詰まっていれば、リハーサルどころではない。

     北朝鮮との交渉にぎりぎりまで振り回された揚げ句、その成果をうたいあげることになった韓国、組織委、IOCの事情がうかがえる。「スポーツを超えた感動を、歴史に刻んだ平和五輪」(バッハ会長)の実像が、これだ。

    2018年03月07日 14時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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