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    社会

    安倍「放送」改革に潜む落とし穴

    読売新聞メディア局 加藤理一郎
     安倍首相が放送制度改革に強い意欲を示している。首相周辺から漏れ聞こえてくるのは「放送と通信の垣根を取り払うことで、映像コンテンツの競争環境を醸成しよう」という発想から、放送法で定める様々な規制を緩和・撤廃することや、電力・ガスの自由化を模した放送のハード・ソフト分離などが検討項目に挙がっているようだ。ただ、具体的な検討を委ねられる政府の規制改革推進会議では「映像コンテンツはインターネットで国民に届ければよく、(電波の)放送用帯域はいらない」という“極論”まで飛び出し、国民生活に不可欠な情報インフラである放送の改革は、一歩間違えれば国民に多大な不利益を及ぼす危険をはらんでいる。安倍「放送」改革の方向性と課題や懸念について解説する。

    「ネットテレビと地上波はまったく同じ」

    • 未来投資会議で挨拶する安倍首相
      未来投資会議で挨拶する安倍首相

     まず、安倍首相の発言をおさらいしておこう。安倍首相は2月1日の「未来投資会議」(議長・安倍首相)で、「技術革新により通信と放送の垣根がなくなる中で国民の共有財産である電波を有効利用するため、周波数の割り当て方法や放送事業のあり方の大胆な見直しも必要だ」と述べ、具体的改革の方向性に言及した。

     「従来の産業分類にとらわれない革新的なビジネスが次々と登場してくる時代に、いわゆる『業法』のような縦割りの発想に基づく20世紀型の規制システムから脱却し、サービスや機能に着目した発想でとらえ直した横断的な制度改革を進めていく必要がある」。1月31日には、IT(情報技術)系やベンチャー企業が主導する「新経済連盟」の新年会で楽天の三木谷浩史社長やサイバーエージェントの藤田晋社長らを前に、藤田氏が創設した無料ネット動画サービス「Abema(アベマ)TV」に出演した経験談を披露したうえで、次のように語っている。

     「考えてみますと(AbemaTVは)ネットテレビですから、放送法の規制がかからないんですね。しかし、見ている人たちにとっては地上波とまったく同じであります。つまり、もう日本の法体系が(現実に)追いついていないという状況なんだろうと思います。電波においても思い切った改革が必要なんだと思っています」

    2018年03月08日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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