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    インバウンド、聖地、秘境…でも「がっかり観光地」

    企業アドバイザー 津田倫男

    ぶっきらぼうな接客

    • (画像はイメージ)
      (画像はイメージ)

     この温泉街の売りの一つは、複数の温泉を楽しめる外湯めぐりだ。入り放題の「温泉手形」を手に温泉を回ったが、そこで、従業員の接客が気になった。

     「下駄(げた)箱は共用願います」

     あいさつの一言もなく、あまりにもぶっきらぼうだった。多くの観光客が押し寄せている状況に、おもてなしの気持ちや丁寧さが二の次になってしまっているのだろう。風呂場に居合わせた日本人観光客の中には、「あんな言い方しなくてもいいのに。さっさと入って、とっとと出ていけと言わんばかりだ」と漏らす人もいた。

     これでは、せっかくの評判も台無しだ。

    たくさん来てもらわんでもええ

     ささいなことと気にしない人もいるかもしれないが、観光客にしてみれば一事が万事なのである。

     外国人観光客の中には、欧米人のみならず、タイやマレーシアなどアジア各国の訪日客の姿も目立つ。

     にもかかわらず、「一人当たりの消費額の多い欧米人は大歓迎。アジアの人は使う額が少ないので、それほどたくさん来てもらわんでもええ」(市の観光関係者)などと言ってしまうのである。

     この温泉街の外国人観光客の急増は、欧米の旅行ガイドブックに紹介されただけでなく、実は海外への熱心な売り込み、大手旅行会社や商社などのバックアップのおかげだ。地元観光業者とはかけ離れた力によって得た“成功”や“評判”は、ややもすれば、観光地の接客やおもてなしの質に反映されないこともある。

     それでも、温泉を訪れる観光客の期待は高まっている。

     観光関係者は「素晴らしかった」「また来たい」などの称賛ばかりに目を向けたがるが、「実際に行ってみると、そうでもなかった」という不満にこそ真摯(しんし)に向き合う必要があるはずだ。

    2018年04月10日 07時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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