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    インバウンド、聖地、秘境…でも「がっかり観光地」

    企業アドバイザー 津田倫男

    作為的な施策はリスク

    • (画像はイメージ)
      (画像はイメージ)

     東京23区の東側、いわゆる「下町」やその周辺エリアは、地方の市町村と違い、特別な観光プロモーションはされていない。にもかかわらず、多くの観光客を集めるのはなぜだろう。

     例えば、上野界隈(かいわい)には微妙なアンバランス(不調和)がある。国立博物館に代表される高雅な文化施設とアメ横が象徴する「庶民的猥雑(わいざつ)さ」があふれる商店街が同居している。近くの湯島もかつては受験生しか訪れないと言われていたが、最近は外国人観光客の姿をよく見かける。

     御徒町のとんかつ屋は外国人に人気だ。ここの店長は「英語メニューを作った以外は、特別なことは何もしていない」と言う。観光客向けの特別なメニューを用意する飲食店などもあるが、地域住民がいつも手軽に食べられるものを味わえるのが何よりの魅力となっている。

     「ありのまま」でいる。この簡単なことが意外に重要だ。上野界隈は特別だと思われるかも知れないが、ここも20年前は都内でもひなびた観光地だった。外国人観光客がその「面白さを発見」してくれたことが大きい。

     観光で地域振興を考えるなら、あまり作為的な施策はかえってリスクを招きかねない。

     多くの自治体が「観光立県」をうたっている。しかし、観光振興という聞こえのいい地域活性化策に、どうしても東京の旅行会社や広告会社の思惑が透けて見える。観光客を受け入れる土壌が地域に育まれているのか。観光地として求められているのは何か。

     自治体の観光担当者は観光客の気持ちを知るために、まず自らが数多くの地域へ旅に出かけてみることだ。

    プロフィル
    津田 倫男( つだ・みちお
     フレイムワーク・マネジメント代表。1957年生まれ。企業アドバイザーとして、事業法人、銀行、自治体、学校等に戦略及び人材育成助言を行う。特にM&A(戦略的提携、事業承継)、海外進出・撤退、ダイバーシティー推進(人材育成)、観光・新産業振興などを得意とする。著書に「2025年の銀行員」(光文社新書)、「地方銀行消滅」(朝日新書)、筆名での小説「カレドニアン・ローズ」(ボイジャープレス)など。都銀、外銀、ベンチャーキャピタル等を経て、01年に独立。


    2018年04月10日 07時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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