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    国際

    「猛毒で重体」二重スパイに報復か…英露暗闘の真相

    読売新聞調査研究本部主任研究員 大内佐紀
     英国で今年3月、ロシア人の元・二重スパイが化学兵器にも転用できる神経剤にさらされ、意識不明の重体に陥った。英政府はロシアの犯行とみなして制裁措置を発動、欧米とロシアの対立が激化する事態につながっている。発端となった謎の暗殺未遂事件は、英国とロシアの間での長きにわたるスパイ戦が、依然として「現在進行形」であることを改めて浮き彫りにした。

    玄関のドアノブから検出された猛毒物質

    • ロシア軍参謀本部情報総局の元大佐、セルゲイ・スクリパル氏(ロイター)
      ロシア軍参謀本部情報総局の元大佐、セルゲイ・スクリパル氏(ロイター)

     ロシア人元スパイの暗殺未遂事件をおさらいしよう。

     英南西部ソールズベリーにあるショッピングセンター前のベンチで3月4日、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)元大佐のセルゲイ・スクリパル氏(66)と娘のユリヤさん(33)が意識不明の状態で発見され、病院に搬送された。

     GRUはロシア軍の情報機関で、旧ソ連の国家保安委員会(KGB)と並ぶ強力なスパイ組織だ。スクリパル氏は英国の二重スパイで、国家反逆罪容疑で2004年、ロシアの治安当局に逮捕され、06年に懲役13年の実刑判決を受けた。英国に流した機密情報から、ロシア人スパイ約200人の身元が暴露されたという。10年に米側が収監中の10人、ロシア側が同3人の二重スパイを交換することになったが、スクリパル氏も交換リストの中に含まれ、家族と共に英国に移り住んだ。

     2人がなぜ意識不明に陥ったのかを調べていた英政府の研究機関は、スクリパル氏の周辺から猛毒物質を検出。旧ソ連で開発された神経剤「ノビチョク」と特定した。3月下旬には英捜査当局が、スクリパル氏の自宅玄関のドアノブから高濃度のノビチョクが検出されたとする暫定的な鑑定結果を公表した。ノビチョクは、ロシア語で「新顔」という意味だ。

    2018年04月11日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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