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    科学

    香害、スメハラ…「におい」って悪者なの?

    東京大学大学院教授 東原和成
     「他人の香水や柔軟剤のにおいがイヤ」「加齢臭が出ているのではと不安だ」――。花粉に悩まされた季節のあとは、身の回りのにおいを気にする人が増えるようだ。ネット上にも「におい」に関する情報が ( あふ ) れるが、誤解や偏見を含むものも少なくない。においの研究を専門とする、 東原 ( とうはら ) 和成 ( かずしげ ) ・東大大学院教授に話を聞いた。(聞き手・読売新聞メディア局編集部 久保田稔)

    においがないのは当たり前か

    • 電車内や職場で接する人の「におい」に不満を訴える人が増えている(写真はイメージ)
      電車内や職場で接する人の「におい」に不満を訴える人が増えている(写真はイメージ)

     「香害」とか「スメハラ(スメル・ハラスメントの略)」とか、他人のにおいへの不満を声高に訴える人が増えています。「においがないのが当たり前」と考えているようですが、実はそのように極端な“無臭信仰”は海外では例を見ません。一部のメディアやコマーシャルの行き過ぎた表現などが、過剰反応を招いている面もあると見ています。

     においの多くは代謝という生命活動に由来するので、生き物がにおいを発するのは当然とも言えます。

     においは「いい」「悪い」などと簡単に二分できるようなものでもありません。嫌なにおいの代表のように言われる「足の裏のにおい」を、好きな人もいます。

     においを感じるメカニズムは複雑です。においの元となる化学物質(におい物質)は10万種類以上あり、これらが混ざり合って、無限と言えるほど多様なにおいを作り出しています。一方、人の鼻の中には「嗅覚受容体」と呼ばれるセンサー(検知器)があり、その数は約400種類にも及びます。

     におい物質がこれらのセンサーに「はまる」ことでにおいを感知しますが、同じ物質でも他の物質と混ざることによって、まるで違うにおいになります。

     例えば、靴下のにおいが一般的に「悪臭」とされるのは、イソ吉草酸(きっそうさん)という物質が原因で、これを不快と思って嗅ぐとストレスを示す物質が人の体内に現れることが知られています。ところが、これにバニラのにおい物質(バニリン)を加えると、全く別の不快でないにおいに変わり、イソ吉草酸の量は変わっていないのに、ストレス物質も出ません。

    2018年04月17日 10時10分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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