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    経済

    セブン、MONO…「色だけで商標」の魅力と高い壁

    読売新聞調査研究本部研究員 野坂雅一
     会社名にブランド名、商品名、ロゴ……。<ウチの社だけのもの>として権利化した商標をどのように活用するか? ライバル社と差別化を図りたい企業にとっては、重要なマーケット戦略だ。従来の文字や図形だけでなく、音や動き、色彩なども新たに商標に登録できるようになって3年。登録件数が急増する一方で、色彩を商標として審査・認可するハードルは意外にも高い。その背景を探ってみた。

    音・動き・ホログラム…新商標の出願ラッシュ

    • 商標はライバル社と差別化を図りたい企業にとって、重要なマーケット戦略だ(※写真はイメージ)
      商標はライバル社と差別化を図りたい企業にとって、重要なマーケット戦略だ(※写真はイメージ)

     商標とは、会社の商品やサービスを他社と区別するためにつけるマークのことで、文字や記号、図形などが一般的だ。主に事業者が、他者と区別するために作成し、日本の特許庁や各国の当局に登録すれば、第三者が真似(まね)たり、無断使用したりすることができなくなる仕組みだ。

     日本では、各種のルールが1959年の商標法によって規定されてきたが、2015年4月の商標法改正で、新たに「音」「色彩」「位置」「動き」「ホログラム」という5種類の「新しいタイプの商標」(新商標)が登録可能になったのだ。

     新しいタイプの商標登録は、「ようやく実現した」という感が強い。

     米国では1950年代に初めて音の商標が登録され、欧州や豪州でも1990年代に新商標の登録制度が導入された。お隣の韓国でも、2007年に色彩や動きの商標が導入されたという。これに対し、文字や図形、記号だけしか商標として認められていなかった日本は、遅ればせながら商標法を改正し、諸外国並みに企業の知的財産権を保護する体制を整えたという経緯がある。

     多くの企業が待ち望んでいたのだろう。法改正から3年たって、今も新商標の出願ラッシュが続いている。

     ここで、過去3年間に新たに登録された新商標の代表例を見てみよう。

     まず、音商標とはCMなどに使われる音などで、聴覚で認識される商標をいう。久光製薬がCMで企業名アピールに使っている「ひ、さ、み、つ」とか、味の素のCM「あじのもと~」などのメロディーの音程などだ。消費者の耳にこれらのCMの音はなじんでいるだろう。

     動き商標は、文字や図形が時間の経過に伴って変化するもので、東宝の映画冒頭に流れる自社のロゴ動画とか、ヒヨコの動きの後に社名が出るエステーのアニメーションなどが登録済みだ。

     ホログラムは、偽造防止も兼ねて銀行などのクレジットカードに使用されている例が多い。位置商標では、富士通のノートパソコンで本体を縁取る赤色が認められた。

     新商標の出願件数(今年3月2日現在)は、5タイプの合計で1671件。このうち特許庁の審査をクリアして、正式に登録された件数は367件に上る。

     3年弱で1600件超の出願、約3日に1件の登録。日本は、新商標の分野で先行する欧米諸国と比べても、ハイペースで新商標の登録が増え、欧米を懸命に追い上げていると言えるだろう。しかし、登録された新商標を詳しく見ると、日本では、商標のタイプによって登録の数と率に驚くほどの差があることが分かる。

    2018年05月14日 11時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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