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    さすが…ベンツが今さら「直6」を復活させた理由

    モータージャーナリスト 御堀直嗣
     メルセデス・ベンツが、約20年ぶりに直列6気筒エンジンを復活させた。今年3月から国内で予約注文を開始した「S450」に搭載された。「直6」は高級車の象徴とされたが、多くの自動車メーカーが手を引き、「V6」へと移行した経緯がある。さらに、各メーカーはエンジンから電動モーターへの動きを加速させている。なぜ、自動車業界をリードするメルセデス・ベンツが今さら「直6」なのか。モータージャーナリストの御堀直嗣氏に解説してもらった。

    胸を熱くする「直6」

    • メルセデス・ベンツが新たに開発した直列6気筒エンジン(M256型)
      メルセデス・ベンツが新たに開発した直列6気筒エンジン(M256型)

     「直6」と聞くと、往年の自動車ファンは胸が熱くなるかもしれない。

     私も、メルセデス・ベンツが新しい直6を開発したと聞いたときは、「本当なのか?」という驚きとともに、懐かしさがこみあげてきた。

     直6とは、「直列6気筒エンジン」のことだ。これに対し、「V6」は「V型6気筒エンジン」を指す。

     直6は、六つの気筒(シリンダー)を一列に並べた長いエンジンだ。V6は六つのシリンダーを3気筒ずつに分け、V字型に組み合わせた格好になる。そうすることで、エンジン全長を短くできるメリットがある。V型には、V6のほかにV8、V12がある。

     エンジン車が誕生して間もない時代には、直列8気筒という直6より長いタイプもあったが、その後、1990年代末まで直6が一般的だった。

     直6が、なぜ自動車ファンを熱くしたのか。

    滑らかな「シルキーシックス」

     一つは、気筒数の多さから、大排気量で馬力の大きい、高性能エンジンの代名詞だったことだ。直列4気筒は小型車で多く使われ、実用的エンジンとして主流だが、シリンダーを六つ用いることは、付随するバルブやスパークプラグなどの部品点数も増え、高価なエンジンであることも意味した。

     さらに、六つのシリンダーが順に燃焼を行う際、中でピストンが上下しクランクシャフトに動力を伝えるが、各シリンダーの動きが重ならず、滑らかに回していくことができる。「シルキーシックス」とも呼ばれ、振動が少ない上質なエンジンとして評価されている。

     直6は、メルセデス・ベンツのほか、同じドイツのBMW、イギリスのジャガーなどに搭載され、高級車の証しとして人々の憧れの的となった。日本でも、トヨタのクラウンやスープラ、日産のスカイライン、セドリック・グロリアが「直6」を積んだ代表的な車種だった。

     ところが、時代とともに、ほとんどのメーカーが直6から手を引き、V6エンジンに切り替えていった。

    2018年05月15日 06時56分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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