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    生活

    梅雨でも晴れやか…青学大・原監督夫人の「寮母力」

    青山学院大学陸上競技部「町田寮」寮母 原美穂
     降る音や 耳も酸うなる 梅の雨(芭蕉)――。気がめいりがちな季節。張り切って新年度を迎えたのもつかの間、リズムを崩してしまった若い人には、周囲が救いの手を差し伸べることも必要だ。心に響くのはどんなサポートか。大学駅伝の強豪、青山学院大学陸上競技部(長距離ブロック)の「寮母」として、若きランナーたちを支える原美穂さんに話を聞いた。(聞き手・読売新聞メディア局編集部 久保田稔)

    張り切りすぎてカラ回り、息も抜けない…

    • 青山学院大の箱根駅伝優勝を同校OBたちと一緒に喜ぶ原さん(2017年1月撮影)
      青山学院大の箱根駅伝優勝を同校OBたちと一緒に喜ぶ原さん(2017年1月撮影)

     厚生労働省の調査(2017年度)によると、新卒で就職し、1年以内に離職した人の割合は大卒が11.3%、高卒は17.2%。3年以内では大卒が30%、高卒は40%を超える。失意を伴うケースばかりとは限らないが、新生活の序盤は“難所”のようだ。学生生活の「序盤のヤマ」とも言えるこの季節を、駅伝強豪校の新入生たちはどう過ごしているのだろうか。

     「毎年、この時期は1年生の様子に注意していますが、何人かは弱音を吐いたり、入ってきたときの勢いがなくなったりします。新生活を始めた3月から4月は緊張していて、その後、気が緩んだところに練習の疲れがたまってバタバタ……となるようです」

     2015年から箱根駅伝を4連覇。2016年度には出雲駅伝、全日本大学駅伝も制して「3冠」を達成――。大学駅伝を席巻する青山学院大陸上競技部(長距離ブロック)の部員たち約50人は、東京・町田市の寮など2か所に分かれて集団生活を送っている。原さんが寮母を務める「町田寮」の定員は約40人。毎春、卒業生たちと入れ替わる形で10人ほどの新入生がやってくる。

     「毎日、慣れないことばかり。朝5時半からの早朝練習や、90分間の大学の講義。満員電車に初めて乗る子もいます。夕方からはまた練習で、寮に帰れば2人部屋。1年生は寝る時も先輩と一緒です。『どこで気を抜くの?』っていうぐらい、緊張の連続だと思います」

     憧れの箱根路でフレッシュグリーンのたすきをつなぐ――。夢への第一歩を踏み出した喜びで、苦にならない新入生も多いのでは?

     「(夢や希望が)大き過ぎると、押しつぶされてしまうんです。張り切りすぎてカラ回りしたり、理想が高すぎて(うまくいかないと)くさってしまったり。よく『五月病』などと言いますが、張り切っている時期だからこそ、思うようにならない日が続くと、すべてが嫌になってしまうのでしょう」

    「生活面を見るのは私」

     原さんの夫は、同部の監督を務める晋さん。2004年の就任時に夫婦で広島から上京し、原さんは寮母を任されることになった。当時、青山学院大は箱根駅伝の舞台から四半世紀以上も遠ざかっていたが、原さんたちが中心となって強化を進め、09年に33年ぶりの出場を果たすと、15年には初優勝を達成した。今年までに4連覇を成し遂げた長距離界の強豪チームは、部員の寮生活を原則としている。「学生の走りを見るのは監督、生活を見るのは私」と話す原さんは、ランナーたちの日常生活をサポートする上でどんな点を大切にしているのだろうか。

    2018年06月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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