皿鉢料理とさらさらといま一番行きたいのは高知。実はまだ未訪で、お酒好きとして酒豪の里を知らないのは恥ずかしい。 でも高知出身の友人ならふたりいる。両人ともべらぼうに強い。だが、地元では下戸と言う。 というわけで改めて飲みっぷりを確認すべく、都内の土佐料理専門店へ向かった。名物の皿鉢(さわち)料理を楽しみながらの宴に心躍る。 皿鉢とは、派手な絵付けの大皿に刺し身(カツオのたたきも)、姿ずし(サバや太刀魚等)、組み物と呼ばれる煮物・揚げ物・あえ物・練り物・焼き物などに甘い物までを豪快に盛り込んだ郷土料理。 目移りするほど多彩な肴(さかな)に合ったのが、「吟麗未濾過(ろか) すっぴん」。高知の地酒では有名なブランド「酔鯨(すいげい)」の蔵元が造る、純米吟醸酒だ。とてもキレがよく、軽やか。吟醸酒の華やかな香りはとかく料理となじまないと言われるが、これは邪魔にならない。後口もすっきりしていて、甘辛系が多い皿鉢メニューのすべてを受け止める。 聞けば米を磨く際、粒の原形を保つために外周を均一に削っているのだそう。原料米をできるだけ均質化することで味ムラをなくし、水を加えない原酒のまま瓶詰めする。だから名前の通り、生のままの飲み口が身上というわけ。 調子に乗って、高知流のべく盃(はい)(底がとがっていたり、小穴が開いていたり、一気に飲まないと下に置けない独特の盃)にも挑戦したが、友人の酒量には遠く及ばなかった。焼酎も含めて日本のお酒全銘柄制覇という野望達成は、まだまだこれからだ。 豊田瑠衣(フリーアナウンサー)(おわり) この一本吟麗未濾過 すっぴん(高知)高知市では唯一の蔵元。「酔鯨」は、酒をこよなく愛した幕末の土佐藩主・山内豊信公の雅号「鯨海酔侯」にちなんで命名された。 1800ミリ・リットル 2804円 (2008年3月24日 読売新聞)
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