ドリンク&ワイン


雑誌などで活躍中のワイン・ライター、名越 康子さんによる基礎講座。ワインの知識はここで吸収しちゃいましょう。
ワインの分類 ワインの生産地 ラベルの読み方 ブドウの品種 実践編お役立ちポイント

ブドウの品種


 ワイン造りに用いられるブドウ品種は、世界に3000種あるといわれています。よく耳にする品種の名前は、それほど多くありませんから、「えっ、そんなに?」とびっくりされるかもしれませんね。

 今回は、中でも代表的な品種をいくつかご紹介します。 品種の特性をある程度知ることは、より自分のテイストに近い、あるいはTPOに合ったワインを選ぶ手立てにもなります。「わかるようになるのかなあ?」と、不安に思う必要はありません。誰でもいくつか飲んで初めて体得するものです。普通の枝豆と、だだ茶豆の違いも、何度か食べるとわかりますよね。そんな気楽な気持ちでお読み下さい。


シャルドネ 
 白ブドウで最も偉大とされている品種です。フランスのブルゴーニュ地方では、北はシャブリから、頂点とされるモンラッシェ、南ではマコンなどを造り出しています。また、今では世界中で栽培され、とても人気があります。
一般的にはニュートラルな品種とされ、以下に記す品種のような独特の香りがあるわけではありません。でも、シャルドネならではの芳香性の高さは特別です。これは、どうやら香りの成分の多さと密度の高さに起因しているようです。
 そして、熟成に使用する樽との相性の良さといったらありません。味わいにおいても、甘みや酸味が突 出すること無く、バランスのよい厚みがあります。また、ニュートラルな分、産地の特徴を顕著に示してくれる品種とも言えるでしょう。
それから、シャンパーニュになくてはならない品種、ということも忘れてはいけませんね(ほんの一部の黒ブドウのみから造られるものを除く) 。

ソーヴィニヨン・ブラン 
 フランスのロワール渓谷から生まれる、プイィ・フュメやサンセールが代表的なワインです。涼しい産地で造られると、独特なハーブのような青い葉っぱ系の香りがするのが特徴的です。そして、全体的にしなやかな様相で、爽やかな酸味があり、比較的若いうちが飲み頃のものが多い品種です。
 こちらも各国で栽培され、カリフォルニアやニュージーランドでも大いに成功しています。暖かい気候で育つと、トロピカルフルーツのような香りになりますが、やはり繊細なワインです。それから、フランスのボルドー地方ではセミヨンとブレンドされることが多く、素晴らしい白ワインを造っています。

リースリング 
 リースリングは、シャルドネと匹敵する偉大な品種です。代表的なワインは、何といってもドイツワイン。ブドウの実が熟すのがとても遅いのですが、ワインが花開いてくれるのも、ゆっくりとしています。
 若いうちには花のような香りで、熟成とともにプロパンガスに似た(あまりおいしそうな表現ではありませんが)独特の香りが広がってきます。シャルドネと違い、こちらは甘口にも辛口にも出来あがり、辛口の場合は酸のキリリとしたワインになります。
 最も上質とされるのは、ドイツの極甘口、トロッケンベーレンアウスレーゼです。フランスのアルザス地方では、よりふくよかなワインになり、その他各国でも栽培されています。

カベルネ・ソーヴィニヨン 
 フランスのボルドー地方で、メルロなどとブレンドされ、偉大なワインを生み出している品種です。そして、様々な環境下に適合しやすいこともあり、イタリア、スペイン、カリフォルニア、オーストラリアを始めとして、世界中で栽培されている人気者です。
 出来あがるワイン達は、色が濃く、カシスなどの小粒な黒い果実の香りが特徴的で、酸もタンニン分もしっかりとした、重厚な味わいになります。熟成に使用する樽との相性も極めてよく、若いうちにはヴァニラビーンズやカラメル系の香りがすることがあります。

メルロ 
 フランスのボルドー地方メドック地区でカベルネ・ソーヴィニヨンの相方を務め、同じボルドーでもジロンド河の右岸地域と呼ばれるポムロールやサンテミリオンでは、カベルネを補完役に回している品種です。これも世界中で栽培されていますが、近年とみに人気が上がり、益々注目されています。
 カベルネより、香りも味わいもふくよかでまろやかなのが特徴です。カベルネが背の高いスラリとした体格とするならば、メルロの場合はいくぶん背が低めでぽっちゃりとしたソフトな輪郭の持ち主、という感じです。

ピノ・ノワール 
 黒ブドウの中で、カベルネと人気を2分している偉大な品種です。フランスのブルゴーニュ地方で、あのドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティをはじめとする偉大なワインを造っています。世界各国で様々な試みがなされていますが、カベルネと違い、育つ場所を相当に選ぶ品種です。
 色合いはカベルネに比べると明るめになり、香りもラズベリーのような赤い果実などがソフトに立ち昇ります。味わいも比較的しなやかですが、緻密で微妙な感じが比類のないものです。

 素材提供:WINE21

<講師PROFILE>
名越 康子(なごし・やすこ)さん
ワイン・ライター。ボルドーのシャトー・シトランのプロモーションに携わり、輸入元で勤務した後フリーランスに。現在、「ワイナート」「ワイン王国」「料理王国」など様々な雑誌で記事やコラムを担当している。著書に「ワイン大全」(日経BP社)、監訳に「フランスワイン教本」(産学社)など。