ラフィット×ムートン、ロスチャイルド家夢のシャンパーニュボルドー1級シャトーのラフィットやムートンを営むロスチャイルド一族がジョイント・ヴェンチャーで造る夢のシャンパーニュ「バロン・ド・ロスチャイルド」が、6月1日、世界デビューする。 シャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社、シャトー・ラフィット・ロスチャイルドを保有するドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルド社、そしてシャトー・クラーク・ロスチャイルドを保有し金融業を主に営むバロン・エドモン・ド・ロスチャイルド社の三社が、一族の功績とロスチャイルド家の精神的価値を代表するシンボルとして、共同でシャンパーニュを造ろうと計画した。 2005年にパートナーシップ契約を結び、2006年に初めてのアッサンブラージュ作業を行った。ロスチャイルド家のシャトーでの晩餐会、ロスチャイルド銀行での公式晩餐会などで、すべてこのシャンパーニュが使用される。生産量は年間10万本と少ない。 発売されるのはノンヴィンテージ3種。「ブリュット」(希望小売価格6930円)はシャルドネ50%、ピノ・ノワールとピノ・ムニエ計50%。「ブラン・ド・ブラン・ブリュット」(9975円)はシャルドネ特有の白系果実のアロマと長く続く泡が印象的。「ロゼ・ブリュット」(9975円)はシャルドネ85%、ピノ・ノワールとピノ・ムニエ計15%。美しいサーモンピンク色。シャルドネ比率が全体に多いのが特色で、フィネスが際立っている。 ブドウ畑はグラン・クリュ、プルミエ・クリュの中から選りすぐった。コート・デ・ブラン地区のヴェルテュ、メニル・シュール・オジェ、ヴェルジェル・ル・ヴェルテュ、モンターニュ・ド・ランス地区のヴェルズネイ、オーヴィレール、マレイユ・シュール・アイなどの長期契約を結んだブドウ栽培農家から買い付ける。 発酵は温度管理されたタンクで、天然酵母を用いて約2週間かけて行い、ステンレスタンクで熟成する。リザーブワインを40%使用し、ドザージュ(糖分添加)は約6グラムと少量。デゴルジュマン後、6 か月間、休ませて、4年間の瓶熟成を経て出荷される。 表ラベルには、オーストリア皇帝が5人のロスチャイルド家の兄弟全員に男爵の地位を授けて以来の紋章が使われている。ロスチャイルド一族の名前の起源となった「ロスチャイルド」(赤い盾)の下に、一族のモットーである「調和、誠実、勤勉」という銘が入っている。 また、裏ラベルには各社のオーナーである3人のサインが記載されている。ラフィットのエリック・ド・ロスチャイルド男爵、ムートンのバロネス・フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド、クラークのベンジャミン・ド・ロスチャイルド男爵がそれ。 ムートンとラフィットの関係はかつて良好ではなかった。先代のオーナーは、ムートンを1級に昇格させた先代のフィリップ・ド・ロートシルト男爵と年下のいとこエリー・ド・ロートシルト男爵。パリに拠点を置く銀行家だったエリーは、ムートンが1級になれば、より高い価格をつけてきたラフィットの地位が脅かされると考えて、フィリップの昇格のロビー活動を妨害した。 1961年にフィリップの1人娘で現オーナーのバロネス・フィリピーヌの結婚式で、両家が一族の伝統にのっとった祝宴を開いたのが和解のきっかけ。1970年代前半のボルドーの暴落を受けて、エリーも大局的な見地から昇格を受け入れ、両家の関係は改善した。 現在のバロネスと、エリーの甥エリック・ド・ロートシルト男爵は幼なじみのいとこ同士。イギリス・デカンター誌の2009年1月号には、初めての2人の共同インタビューが掲載されるなど、蜜月時代を迎えている。背景にはカリフォルニア、オーストラリアなど新世界ワインとの競争がある。世界的なワインブランドに発展したロスチャイルド家のブランドを大切にするという戦略が、今回の提携に結びついたと見られる。 問い合わせはエノテカ(電話 03-3280-6266)。 (2009年5月20日 読売新聞)
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