ミシュランガイド東京、2010年版は和食が充実17日午後に内容が発表された「ミシュランガイド東京 2010」。3年目に入ったガイドは評価が安定し、東京の美食家を納得させられる内容に成熟した。現場の審査員を日本人で統一した結果、和食が充実したセレクションとなり、焼き鳥、居酒屋、串揚げ店などが初めて星を獲得した。 一方で、料理人が交代した3つ星店を降格させるなど、本場並みの厳しい基準が導入された。 記者会見によると、和食の「えさき」「幸村」と「鮨さいとう」が3つ星に昇格し、3つ星レストランは世界最多の計11軒。2009年版より24軒多い197軒のレストラン全掲載店に星がつき、計261個の星を獲得。東京は2位の京都以下を大きく離して世界一ミシュランの星が多い美食都市の座を不動にした。 3つ星レストランの数は、今年2月に出版された09年パリ版が10軒。現時点ではパリを上回る。「濱田屋」は、料理人の交代を理由に星を1つ失った。3つ星レストランの数は世界のガイドに掲載されている1万6500軒のうち81軒の狭き門。 2つ星は09年より6軒多い42軒。懐石の「青草か」が初登場で加わったほか、「小室」「辻留」(懐石)「楽亭」(天ぷら)「レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ」(フレンチ)など計8軒が1つ星から昇格した。1つ星は42軒が新たに加わり144軒。 ミシュランガイド東京については、創刊時からカバー範囲が狭いという批判があったが、今回は江東区と文京区が加わり、15区が対象となった。さらに調査範囲を拡大することが望まれる。 また、創刊時から、星の数がインフレ気味という批判も根強くある。総責任者ジャン・リュック・ナレ氏によると、今回は「濱田屋」を含む19軒が星の数を減らしたり、失った。ナレ氏が星の評価理由を語ることは少ないが、「濱田屋」降格については「3つ星に返り咲けるようにがんばって欲しい」と異例のコメントをした。 フランス版では、シェフが交代した際に、3つ星レストランが1つ星を減らすのは恒例。星を獲得するよりも、失った星を回復する方が難しいといわれる。ミシュランガイドの信頼性は、レストランの努力に応じて、星を増やしたり、減らしたりする点にあり、競争原理がレストラン業界全体の質を高めてきた。 その点では、ナレ氏がいうように「ミシュランは23か国をカバーする。各国で共通する厳しいセレクションを行ったグローバルなガイド」というビジョンが、東京版でも実現されてきたといえよう。 10年版のもう1つの特色が和食ジャンルの充実。居酒屋1軒、串揚げ1軒、焼き鳥4軒、精進料理2軒が新たに加わった。ガイド掲載店のうち67%は日本料理。これは京都・大阪と共通する現場を回る7人の調査員が全員、日本人になったことと無縁ではあるまい。 京都・大阪版では既に、串揚げの「六覺燈」が1つ星を獲得。ナレ氏は「ジャンルを広げるためにお店を増やしたわけではない。お店のレベルが高まったから」とコメントしたが、東京版も和食の深い理解が深まってきたといえよう。 1つ星に輝いた焼き鳥屋「バードランド」(東京・銀座)の和田利弘氏は「日本料理はジャンルが専門ごとに分かれているのが特色。焼き鳥は飲み屋の延長みいたいに思われてきたが、今回、料理としてきちんと認められた。何とかして焼き鳥を高めようと思ってきた人間としてうれしい」と語った。 「ミシュランガイド東京 2010」の日本語版・英語版は、20日に発売される。価格は2415円。(山本 昭彦) ガイド掲載の3つ星、2つ星、新たな1つ星店は次の通り。
(2009年11月17日 読売新聞)
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