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非常食にぜいたく感は必要?

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林家たい平/画

 非常食、災害食と言えば乾パンと思っていた身には相当イケル味だ。パンの缶詰。栃木県那須塩原市の業者が10年前に開発したオリジナル商品だ。

 開けるとしっとり柔らかい、スポンジケーキのようなパンが詰まっている。基本はレーズン入り、チョコクリーム、イチゴ味など5種類で1個300円台。賞味期限は最長3年だ。

 「阪神・淡路大震災の時2000食の無添加パンを現地に送ったけれど、カビが生えて無駄も多かった。それで焼きたての食感と長期保存の両立を考えるようになった」とは、社長の秋元義彦さんだ。

 ほぼ1年がかりで〈1〉生地を缶ごと加熱する〈2〉レシチン(卵成分)で質感を出す〈3〉中に仕込む包装紙で保湿を調整する――などの工夫を凝らした。今や年間300万缶ほどを売り上げ、自治体の備蓄用以外に贈答用やお土産グッズとしても引き合いがある。

 この商品に限らず、最近の非常食はおいしさもポイントらしい。栄養分を強化した非常用ドロップはイチゴ味、メロン味など様々。おでん缶は牛すじが入り、フリーズドライのみそ汁は合わせみそタイプだ。

 極め付きは2人2日分、1万1000円の防災食品セット。銚子産“トロ”イワシの缶詰に宇和島産のコンビーフ、国産小麦のクロワッサン缶、デミグラスソースのハヤシビーフ、タラバガニやホタテの缶詰もそろっている。

 食は生活の基本、非常時でもぜいたく感を味わおうという気持ちはわからなくもないが……。「災害は最初の何日間が勝負。いざその時に飢えをしのぐには、手間がかからず口に入ってちょっと心安らぐ、やっぱりこのパンの缶詰ぐらいがちょうどいいのでは」と秋元さん。その点は同感だ。(宇佐美伸)

2006年1月30日  読売新聞)
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