霜ばしら さらりと溶ける不思議な飴よく晴れた冬の朝、黒々とした土をざくりと持ち上げると、白い氷の束が光っている。昼には溶けてしまう霜柱のはかなさ、輝きを飴(あめ)に仕立てたのが、このお菓子だ。白い絹糸を束ねたような姿。口にいれると、さらりと溶けて消えてしまう。どこか切ない甘さである。 霜ばしらを作っているのは、創業延宝3年(1675年)の仙台の和菓子店「九重本舗玉澤(ここのえほんぽたまざわ)」である。30年ほど前に完成させたものだそうだ。 材料は砂糖と水飴。これを煮溶かし、飴の素(もと)を作る。熟練の職人が、まだ熱い飴の素を手で伸ばしながら、空気を含ませる。ふつうは1本の飴になるのだが、霜ばしらの場合は、わざと空洞を作る。やがて、空洞の数も増え、最後は針の穴のような空洞が集まった美しくも不思議な飴になるのだ。 「湿度が高いと飴が粘って空洞ができないので、天気が1番気がかりです。作業所の窓は二重構造になっているのですが、それでも風の強い日は難しい」と専務の近江貴生(おおみたかお)さん。 蔵王の山々が雪化粧し、空気が乾燥してくる10月から4月までの季節商品。10年以上修業した熟練の職人さんでなければできない技だ。 できあがった飴は繊細で衝撃に弱いので、1本1本ていねいに缶に詰め、粉雪に似せたもち米の粉で保護する。すべてが手作業なので量産はできない。 (フードライター) 九重本舗玉澤 〒980・0021 仙台市青葉区中央3の5の11 (電)022・246・3211(本社工場) (2004年1月29日 読売新聞)
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