味噌饅頭 一口食べて驚き 二口目は納得一説によれば、三河出身の徳川家康の健康と長寿の秘訣(ひけつ)は、特産の豆味噌であったという。そのせいかどうかは知らないが、愛知県の人は味噌好きである。味噌カツ、味噌煮込みうどん……。もうひとつ忘れてならないのが、大正2年(1913年)創業、愛知県高浜市の和菓子店「松鶴園(しょうかくえん)」の味噌饅頭だ。 こしあんを味噌風味の皮で包んでいる。味噌は地元・3州(さんしゅう)の豆味噌を中心に何種類かをあわせたものだ。あんは甘く、皮にはほんのり塩気と香ばしさがある。シャリッと歯にあたる甘さは、ザラメ糖だ。 お汁粉にほんの少し塩を加えると、甘さがぐっと深まるように、甘さと塩味は助け合っている。しかも味噌は塩の何倍もうまみがある。一見、なんの変哲もない饅頭だが、一口食べて驚き、二口目からは納得のおいしさなのだ。 味噌饅頭は、昭和10年(1935年)ごろ、初代と2代目が工夫した。たまたま食べた味噌パンがヒントになったという。「当時の味噌パンがどのようなものかは分かりませんが、味噌という日本人にかかわりの深い食材で、お菓子ができないものかと考えたそうです」と、3代目の加藤安啓(やすひら)さん。 味噌の風味が勝ってしまうとしつこく、くどくなる。あっさりしすぎては、つまらない。しかも、味噌はひとつ間違うと、野暮(やぼ)ったくなる。駄菓子ではなく、お茶席にも使われるような姿も味も洗練されたものにしたい。2人の味噌好きの胸には、さまざまな想(おも)いが交錯し、試行錯誤を重ねたそうだ。 かくして生まれた味噌饅頭の味は、そのまま現在に受け継がれている。高浜生まれの人には、懐かしいふるさとの味、それ以外の人には、新鮮な発見のある味である。(フードライター) 松鶴園 〒444・1325 愛知県高浜市青木町4の2の34 (電)0566(53)0123 (2004年9月16日 読売新聞)
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