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山ガール御用達の絶品カレーうどん

山頂レストランを目指して

ふもとの湯の山温泉からロープウェイで一気に御在所岳の山頂へ
御在所ロープウェイ山上公園駅から歩いて15分ほどにあるレストラン・アゼリア
アゼリアの近くにある、水をまいて造られた氷瀑(ひょうばく)。天候条件が良ければ樹氷も楽しめる

 「そこに山があるから」と言ったのは、エベレストで亡くなった英国の登山家ジョージ・マロリーだが、うどんを食べるために、わざわざ山に登る人はいないだろう。そこをあえてやった。標高1212メートル。鈴鹿山脈の主峰、御在所岳山頂のレストランに、おいしいカレーうどんが登場したと聞いたからだ。もちろん、山頂まで登る手軽な手段があるからだが。

 三重県菰野(こもの)町の湯の山温泉街を抜けたところに、御在所(ございしょ)ロープウェイの湯の山温泉駅がある。30台余のゴンドラが1分間隔で動き、待つことなく、わずか12分で山頂へ運んでくれた。料金は往復で大人2100円、小人1050円。山上には小さいがスキー場もある。さらに、1月から2月にかけたこの時期は、日本海と琵琶湖をわたり、湿気を帯びた北風がつくる自然の芸術、樹氷を見ることができるので、気軽に山頂を訪れる観光客も多い。

 あいにく、私が登った日は最低気温が氷点下に下がらず、途中からは雨まで降りだした。目的の山上レストランまでの道の途中、本来なら陽光にキラキラ輝くような樹氷原はすっかり姿を消していた。30年余りこの山で働いてきたロープウェイ会社職員によると、「温暖化のせいか、ここ10年、積雪も減り、2月でさえも雨が降ることがある」そうだ。あるいは私の登山の目的がうどんだと察して、天気が意地悪をしたかもしれない。ちなみに、レストランの名前の「アゼリア」は、冬場は樹氷に姿を変えるツツジのことだ。

そこに“カレーうどん”があるから?

伊勢うどんに和風だしが効いたカレールーをたっぷりかける
(左)山ガールにも人気の「御在所カレーうどんセット」。窓の外には山上の雪景色が広がる(右)目に飛び込んでくるのは、トッピングされた豚の角煮だ
「御在所の新名物です」と料理長の矢田正歩さん

 さて、お目当ての「御在所カレーうどん」である。単品で850円、ご飯とデザートのつくセット価格が1000円。昨年10月、メニューに登場させたばかりだが、すぐに同店の人気ランキングのトップになった。

 あえて名前に御在所を冠したのは、めんに地元特産で、もちもちとして扁平の伊勢うどんを使ったからだ。「いろいろ試したところ、伊勢うどんのめんにカレーのルーがよくからんだ」と料理長の矢田正歩(まさほ)さん。ルーは具のタマネギがとろけるほどによく煮込まれ、かつおだしもよく効いている。少し辛いが、なるほど伊勢うどんの太めんとの相性はよさそうだ。同時に、トッピングされた豚の角煮もぜいたく感を漂わせるのに有効だろう。しかも、ほどよく軟らかく、うまい。やはり地元産の豚を使っている。

 それにしても、なぜカレーうどんなのか。矢田さんによると、冬場になると山上ではカレーライスがよく出るのだそうだ。特に「山ガール」と言われるほど、山歩きを楽しむ女性が増えてきてから、その傾向は顕著になったという。そこで新たなカレーメニューを増やそうと、工夫の結果が御在所カレーうどんとなった。

 もしかしたら、「そこにカレーうどんがあるから」と山に登ったのは、わたしだけではないかもしれない。

(読売新聞中部支社専門委員・千田龍彦)

「レストラン アゼリア」

三重県菰野町、御在所岳山上公園内
電話 059−392−2266
営業時間 4月〜9月 喫茶9時半〜16時半、食事10時半〜16時/10月〜3月 喫茶9時半〜15時半、食事10時半〜15時
※定休日はないが、ロープウェイの運行状況で休業や営業時間の変更あり
2012年2月21日  読売新聞)
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