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「そば」 岩崎良美さん

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「仕事先でもどこでもまず探すのがおそば屋さん。近所の行きつけのおそば屋さんから、生そばを購入し、自宅でゆでることもあります」=冨田大介撮影

歌と演技 味覚も成長

 多いときは一日2回、そばを食べる。街でそば屋を見つけると、気軽にのれんをくぐって、たぬきそばやカモせいろをすすっているというから、相席になったことがある人もいるかもしれない。

 取材の日も「今日のお昼は天ぷらそば。夕食も、通っているフランス語学校の近くにあるおそば屋さんに行きます」。自宅でゆでたそばを、保存容器に入れて「ざるそば弁当」にすることもあるそうだ。

 そばとの付き合いは長い。3歳年上の姉で歌手の岩崎宏美さんにあこがれ、芸能界入りした16歳の頃から、よく食べるようになった。「食べ物は絶対に残すな」という厳しい家庭で育ったのに、「太るから、食事は残すように」と所属事務所からは言われる。そこで、「健康に良い」と父親にすすめられていた日本そばなら、「全部食べても平気だ」と思うようになった。

 1980年代、テレビアニメ「タッチ」の主題歌などで人気を集めたが、90年代は歌手としての活動が減っていた。「姉といつも比較されることにプレッシャーを感じ、声が出なくなって歌の仕事を断っていたんです」と打ち明ける。

 女優として舞台に出演する機会はあったが、ベテラン俳優から「君は芝居ができないんだから、けいこの初日にはせりふだけ覚えてくれ」などと厳しく指導されることもあった。

 94年の舞台「ヴェニスの商人」で、英国の女性演出家に「あなたは自分のエネルギーを閉じている」と指摘されハッとした。「他人に嫌われちゃいけないと周囲ばかり気にして、自分自身を見失っていたことに気付きました」

 やがて自信を取り戻し、歌手としての活動も再開。今年で8年目の出演となるミュージカル「アニー」では、大富豪の秘書グレース役として円熟味のある歌と演技を見せる。

 こうした苦労を一緒に乗り越えてきたのが、そばだった。

 「ただ、10代のころは食感だとか香りの良さがわかって食べていたわけではなかった。大人になるにつれ、だんだんとそばの魅力にとりつかれました」

 ざるそばは、食べ始めは汁につけずにコシのあるそばの味わいを楽しむ。そば湯も好きで、「残りづゆに混ぜて飲んだ後の2杯目は、そば湯だけで」と、なかなかのこだわりを見せる。

 通い詰めた店では、「無愛想に見えたお店のおばちゃんが、4人掛けの席に1人で座らせてくれたり、商店会のくじ引き券を多めにくれたりします」。

 そば好きとして認められ、自分でもはっきり「おいしい」と言える。同時に、歌手として、女優としての成長も意識できるようになった。そんな自分自身の変化をしっかりとかみ締めてている。(鳥越恭)

 いわさき・よしみ 女優、歌手。1961年、東京生まれ。78年に芸能活動を始め、80年、「赤と黒」で歌手デビュー。85年、「タッチ」で日本レコード大賞金賞。今年は4月25日からミュージカル「アニー」(東京・青山劇場)、6月にコーラスデュオ・カズンとのジョイントコンサート(新潟県)も。

2009年2月3日  読売新聞)
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