郡山(福島) 明朗 開拓者精神 今も「今の自分たちがあるのは開拓のおかげ。疎水(水路の新設や通水)で水田が開けたのだから、米作りには思い入れがありますよ」。古川勝幸さん率いる「漢方無農薬研究会」の一員、安田潤一さん(46)が言う。会津藩士だった祖先が400年前にこの地に移り住み、安田さんで17代目という。「戊辰戦争で負けたから、水をもらうにも後回しにされて苦労したようです」と開拓の秘話を語る。 湖水東注――それがかつての寒村、安積地方の悲願だった。奥羽街道の宿場町だったが降雨量が少なく、たびたび干ばつに見舞われた。日本海に注ぐ広大な猪苗代湖から何とかして水を引きたいと人々は考えた。 「ちょうど廃藩置県で困窮する侍たちを救う開墾地が必要でした。内務卿だった大久保利通が、この場所に目を付けたんです」と鈴木剛之さん(72)。開拓の拠点で現在は資料館となっている「開成館」で案内ボランティアを務める。 果たして、奥羽山脈にトンネルを掘り、原野に水を通す大規模な疎水工事が行われることになった。わずか3年で延べ85万人の労力と、今の金額にして400億円相当の工費が投入され、130キロに及ぶ水路が1882年(明治15年)に完成した。人口5000人の村に、近隣の会津や二本松を始め、九州・久留米や四国・土佐など9藩から2000人が入植し、開墾に励んだ。明治政府の大規模開発事業の第1号だった。 「フロンティアスピリットっていうのかな、排他的じゃなくて明朗 母なる湖を望もうと、車を走らせた。市の西端にある標高1000メートルの 貧しい時代に人々の心を慰めた郷土玩具も忘れてはならない。300年前から作られている高柴地域の張り子人形。大黒様や舞い姿。躍動感あるしぐさや目を細めて笑う表情など、見ているだけで楽しくなる。 工房集落「デコ屋敷」の一軒、大黒屋には92歳の現役人形師がいる。橋本ミヨシさん。21代目の当主、彰一さん(34)の祖母だ。20歳で嫁いで以来、人形を作り続けている。毎日工房にちんまり座り、観光客と会話を楽しみながら来年の 「伝統って、いつまでも古びないフレッシュなものなんです」。彰一さんの言葉に共感した。 ■アクセス東北新幹線で東京から郡山まで1時間20分。 ■開成山公園![]() 市中心部にあり、安積開拓への布石となった最初の開墾地。大久保利通やオランダ人技術者ファン・ドールンら開拓の尽力者たちをテーマにした彫刻「開拓者の群像」=写真=が立つ。周辺には開拓ゆかりの開成館や安積歴史博物館もある。 ■家庭用漢方農法商品![]() 古川さんが使っている漢方活性剤や虫よけなどには家庭用シリーズ「Kampo Garden」もある=写真=。1000倍に薄めて使う活性剤(150cc)3200円、プランター栽培用の土(4リットル)1600円など。NPO法人「漢方環境安全対策普及協会」の製造で、発売元はアトリエ・ユキヤナギ((電)03・6325・0545)。 ■問い合わせ郡山市観光協会((電)024・924・2621)。古川農園((電)024・952・8854)。 (2009年11月4日 読売新聞)
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